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09月28日-04号

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  1. 京都市議会 2018-09-28
    09月28日-04号


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    平成30年  9月 定例会     平成30年     定例会       京都市会会議録 第4号     9月市会                      平成30年9月28日(金曜日)出席議員(67名)   1番  森 かれん議員   2番  菅谷浩平議員   3番  こうち大輔議員   4番  やまずまい子議員   5番  大西ケンジ議員   6番  豊田貴志議員   8番  山本陽子議員   9番  平井良人議員  10番  やまね智史議員  11番  江村理紗議員  12番  大津裕太議員  13番  宇佐美けんいち議員  14番  森川 央議員  15番  西山信昌議員  16番  かわしま優子議員  17番  国本友利議員  18番  山本ひろふみ議員  19番  平山たかお議員  20番  寺田一博議員  21番  西村善美議員  22番  ほり信子議員  23番  山田こうじ議員  24番  森田ゆみ子議員  25番  村山祥栄議員  29番  青野仁志議員  30番  平山よしかず議員  31番  吉田孝雄議員  32番  湯浅光彦議員  33番  加藤昌洋議員  34番  森田 守議員  35番  田中たかのり議員  36番  みちはた弘之議員  37番  くらた共子議員  38番  河合ようこ議員  39番  樋口英明議員  40番  加藤あい議員  41番  赤阪 仁議員  43番  天方浩之議員  44番  中野洋一議員  45番  隠塚 功議員  46番  山岸たかゆき議員  47番  安井つとむ議員  48番  曽我 修議員  49番  久保勝信議員  50番  しまもと京司議員  51番  椋田隆知議員  52番  下村あきら議員  53番  西村義直議員  54番  吉井あきら議員  55番  田中明秀議員  56番  山本恵一議員  57番  山中 渡議員  58番  井坂博文議員  59番  北山ただお議員  60番  玉本なるみ議員  61番  西野さち子議員  62番  井上けんじ議員  63番  鈴木マサホ議員  64番  大道義知議員  65番  ひおき文章議員  66番  津田大三議員  67番  中村三之助議員  68番  橋村芳和議員  69番  小林正明議員  70番  繁 隆夫議員  71番  富 きくお議員  72番  井上与一郎議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 平成30年9月28日午前10時第1 請願の付託   一般質問 (1) 市政一般について  平山よしかず議員 (2) 市政一般について  国本友利議員 (3) 市政一般について  久保勝信議員 (4) 市政一般について  安井つとむ議員 (5) 市政一般について  中野洋一議員 (6) 市政一般について  大津裕太議員 (7) 市政一般について  森 かれん議員 (8) 市政一般について  森川 央議員 (9) 市政一般について  菅谷浩平議員   議事日程(追加)第2 議第134号 平成30年度京都市一般会計補正予算~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(寺田一博) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。みちはた弘之議員と平井良人議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 日程に入ります。日程第1,請願の付託を行います。 今回受理いたしました請願1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 昨日に引き続き,これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,平山よしかず議員。 〔平山よしかず議員登壇(拍手)〕 ◆(平山よしかず議員) おはようございます。西京区選出の平山よしかずです。国本友利議員,先輩である久保勝信議員と共に公明党京都市会議員団を代表し市政一般に関し質問します。 質問に入る前に,今年6月の大阪府北部地震,7月の西日本豪雨,その後の台風20号,21号による暴風雨,及び北海道胆振東部地震において,お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに被災された皆様にお見舞いを申し上げます。 京都においても市民生活に甚大な被害をもたらしました。その点を踏まえて,今回の代表質問では不断の防災対策についてもお尋ねします。市長並びに関係理事者におかれては,前向きで誠意ある御答弁をお願いいたします。 最初に財政運営に関して質問します。平成29年度一般会計決算は,景気が緩やかに回復する中,平成28年度比で市税収入が増加し一般財源収入全体でも増加したものの,社会福祉関連経費などの歳出増を賄うには至らず,公債償還基金を69億円取り崩さねば収支の均衡が図れない厳しい決算となりました。 〔寺田議長退席,湯浅副議長着席〕 ◆(平山よしかず議員) (続)また,国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を含めた一般会計の市債残高は,平成28年度比109億円増加し,将来世代の負担が増している面は否定できません。今後も,市庁舎及び中央卸売市場第一市場の再整備,市立芸術大学の移転整備など,京都の今と未来に必要な事業への投資の増大が見込まれています。一方,今市会には,大阪府北部地震,西日本豪雨,台風21号による災害対応として,49億円の補正予算が提案されているとおり,近年多発する自然災害への備えに対する投資や公共施設の老朽化対策も先送りすることはできません。こうした状況下で,現在の市民生活,福祉に必要な財源をしっかりと確保しつつ,防災・減災や未来の京都の成長に必要な資金をどう賄うか,非常に難しい舵取りが求められていると考えます。 私は,平成29年度予算審議の際に,中期財政収支見通しの投資的経費について,特別の財源対策によらない財政運営及び生産年齢人口一人当たりの市債残高を増加させないと定めた「京プラン」の枠組みからぶれずに着実に推進すべきだとしたうえで,大型事業への資金需要が増大する中,防災・減災のための公共施設インフラ整備をはじめ,地域の安心安全にとって不可欠な投資が先送りされないためにも,中期的に投資的経費を積み上げて検討し,その有効性や適格性を判断し,適切にコントロールする必要があると指摘しました。また,同趣旨の付帯決議が付されました。この市会付帯決議を受け,平成30年度予算編成時の中期財政見通しの改定では,一定の大規模事業について積上げが行われました。これは評価するものです。しかし,この間の京都市の財政状況の厳しさには,社会福祉関係経費の増大と共に臨時財政対策債も含めた市債償還,とりわけバブル期に発行した市債の償還が大きく影響しています。市債の償還は長い期間を要するものであり,今後は財政の収支見通しをより長期的な視点に立って,更にブラッシュアップする必要があるのではないでしょうか。また,本市を取り巻く情勢は刻々と変化するもので,中長期の財政見通しといえども,その作成後に固定せず,会計年度ごとに見直すローリングプランとすべきです。平成29年度決算は厳しいものとなりましたが,来年度以降の財政収支見通しはいかがですか。あわせて,中長期的な視点に立った戦略的な投資についてどのように進めていくのか,その財政上のコントロールをどう行っていくのか,市長のお考えをお答えください。 次に,現在の世代にも将来世代にも重要な問題である認知症に向き合う力,認知症対策について質問します。厚生労働省によれば,認知症の人は6年前の2012年に日本全体で462万人,7年後の2025年には730万人になると推計されています。京都市に当てはめれば,2025年には本市の認知症の人の数は9万3,000人と推計され,これは学区,いわゆる小学校区当たり約430人となります。認知症は身近で重要な課題であることが分かります。私たち公明党は,今年4月から6月まで,全国の議員が,子育て,介護,防災・減災,中小企業支援のアンケートを通して皆様方のお声をお聴きする,100万人訪問調査運動を展開しました。私も西京区内を歩き,とりわけ介護や認知症について,親が認知症になったらどこに相談すればよいのか,いつまでも家族が一緒に安心して生活していきたい,大切な財産を大事に使いたい,認知症でも今までと同じく周りの人と関わりたいなどの当事者と御家族のお声をたくさん頂きました。この100万人訪問調査の全国集計結果では,介護に直面していない人に,自身が介護を必要となったときに一番困ることをお聞きしたところ,経済的な負担が29.1パーセントと最も割合が多く,次いで,自分が認知症になったときが26.8パーセントの回答でした。現在介護を受けていない人でも認知症への不安が大きいことが分かります。さらに調査では,介護に直面している人の間でも,認知症初期集中支援チームを知っている人はおよそ10人に一人と,その認知度が極めて低いことが明らかになりました。これらを受けて私たち公明党は,認知症への対策は国の責務であるとして,国を挙げて認知症施策を抜本的に強化する認知症施策推進基本法の案をまとめ,その実現へ取組を始めました。 私が関わったある御家族は,一人親である母親が他都市にいらっしゃり,長男御夫妻は京都で生活されています。最近,お母様のもの忘れが多くなり要支援1の認定を受けられました。初期の認知症ということで京都の御家族は心配されていますが,一つには,遠く離れているため日常の面倒がままならず,一体どうすればよいのかと不安が募ります。もう一つには,お母様は普段の生活に大きな支障がないために,御自身が認知症であることを気付くことが難しいのです。これから認知症に向き合わなければならないと分かっていながら,御家族は容易に動くことができません。私は,認知症対策のためには,その初期段階,入口において,御本人と御家族とを目に見える相談サポートで支え,安心していただくことが極めて大切であると考えます。そのためには,現在京都市が進めている医師や保健師,社会福祉士などが連携し認知症の入口段階で初期支援を行う認知症初期集中支援チームの事業を,導入事例の課題を検証し,しっかりと構築,展開することが必要です。そこでお尋ねします。私は,認知症の入口段階で御本人と御家族を支えることが,市民に最も近い地方自治体・京都市の責務と位置付け,初期認知症対応を強力に推進すべきと考えます。今後の認知症対策の取組について,市長のお考え,方針をお聞かせください。 また,地域において認知症に関する正しい知識と理解を持つ認知症サポーターを拡大していくとの国の方針に基づき,本市は,認知症サポーターの養成に取り組んできました。その数は着実に増え,29年度末には10万4,392人となり,32年度末には14万4,000人とする目標となっています。私は,147万京都市民の中に非常に多くのサポーターがいらっしゃることに驚きますし,同時に,この多くのサポーターの真の理解が継続すれば,認知症に優しい京都のまちづくりが大きく進むと思います。 厚生労働省は来年,2019年度から,認知症の人と地域で支援に取り組む認知症サポーターをマッチングする(仮称)オレンジリンク事業を始める方針を固めました。これは,認知症の人と認知症サポーターを仲介するためのコーディネーターの活動費などを補助し,活動意欲のあるサポーターの支援活動を強化することで,認知症の人が変わらず日常生活を送りながら社会参加できるようにするものと伺っています。多数いる本市の認知症サポーターが,(仮称)オレンジリンク事業を通じてその支援に活躍できる場を増やし,支援活動を活発化していけば,認知症と診断された方の心理面や生活面を一層支える取組が進むと同時に,京都における認知症理解がより深化し,真の認知症理解を継続していくことにつながるのではないでしょうか。国の施策を見据えて,本市においても認知症サポーターの育成と活用について次の段階へ進むべきです。市長のお考えをお伺いします。 ここまでを前半の質問とします。御答弁をお願いします。 ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) おはようございます。平山よしかず議員の御質問にお答えいたします。 中期財政収支見通しでございます。厳しい財政状況にあっても,市民の皆さんの安心安全を守り,全国トップ水準の福祉や教育,子育て支援を維持・向上させ,京都の今と未来に必要な投資はしっかりと吟味したうえで推進する。同時に,民間でできることは民間にを基本に,徹底して行財政改革を推進し,財政構造改革を断行していく,持続可能な財政運営を確立する。市長就任以来,私はこの双方を一体的に進めてまいりました。こうした基本姿勢の下,市民の皆さんにお約束し,議会でも議論いただいた「京プラン」実施計画の具体的な施策を着実に実行するとともに,中期の収支見通しと財政運営の目標を明確にし,その実現に全力で取り組んでまいりました。しかし京都市は,その都市特性から,市税の水準が他の政令指定都市を大きく下回るなど,財政基盤がぜい弱であるうえ,国からの地方交付税等の削減により,一般財源収入がピーク時から300億円以上減少した状態が続いております。このような状況の下,高齢化等により社会福祉関係経費は増加の一途をたどっております。加えて,今般,大阪府北部地震や7月豪雨,台風21号といった未曾有の災害を受け,50億円規模の新たな経費が必要となりました。今後も,危機への備えとして,防災・減災対策はしっかりと進めなければならず,財政運営が厳しさを増すことは確実であります。こうした状況の中にあっても,長期的な視野で京都の未来を展望し,市民の皆様の命と暮らしを守り抜く。福祉,教育,子育て支援を充実させる。そして都市格を向上させ,市民,中小企業の豊かさにつなげ,将来の担税力を高める。そのために必要な先行投資はしっかりと吟味し進めなければなりません。投資的事業につきましては,受益が将来にわたって及ぶことから,市債の発行で資金を確保し,長い期間を掛けて償還するものであり,中長期的な判断が重要であります。来年度の予算編成では,今後想定される防災・減災対策の充実強化をはじめ,状況の変化を収支の見通しに反映させてまいります。そのうえで,より長期的な視点から,過度な将来負担とならないようにしっかりと見極めつつ,必要な投資を着実に進めてまいります。今後とも,将来にわたって持続可能なレジリエント・シティの実現を目指し,京都の今と未来に欠かせない投資と安定した財政運営の確立の両立に全力を注いでまいります。 次に,認知症の初期段階での対策及び認知症サポーターについてでございます。認知症の支援に当たりましては,病状に早く気付き,適切な相談機関や医療機関につなぎ,そして地域社会で一体となって支える,気付き,つなぎ,支えることが極めて重要であります。とりわけ平山議員御指摘のとおり,認知症が疑われる段階や認知症診断がなされた直後の不安に対して,いち早く支援していくことが重要であります。このため本市では,認知症の疑いなどがあるにもかかわらず必要な支援につながっていない人やその御家族に早期に関わり,訪問等を通じて集中的に支援を行う認知症初期集中支援チームを順次設置し,これまでに11の区・支所で活動できる体制を整え,認知症の初期・初動支援を行ってまいりました。支援チームの活動は,御家族や介護者の悩みを受け止めるとともに,御本人を介護サービスや認知症専門医の受診等の医療につなぐなどの支援を行ってきました。こうした結果,28年度,29年度の2年間で8割の方が在宅生活の継続につながるなど着実に効果を上げております。残る三つの行政区につきましても,早期に支援チームを設置するとともに,支援チームの更なる周知を図り,御本人や御家族に安心していただけるよう一層の取組を進めてまいります。 次に,認知症サポーターについてでございますが,本市では,京都市長寿すこやかセンターと連携し,認知症についての理解を深め,御本人や御家族を地域で見守る認知症サポーターの養成に力を注ぎ,多くの市民や事業者の皆様にサポーターとなっていただいております。さらに,平成23年度からは,認知症のある方により積極的に関わりたい認知症サポーターアドバンスサポーターと位置付けまして,これまでに282人を養成し,本人や家族同士の集いの場であります認知症カフェのスタッフなどとして御活躍いただいております。認知症サポーターを認知症の人やその御家族の支援につなげていく役割を果たすオレンジリンクにつきましては,現在国において検討されているところであり,その動向をしっかりと注視してまいります。今後も,認知症になられても安心して生活ができるよう支援の充実に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 平山議員。 〔平山よしかず議員登壇〕 ◆(平山よしかず議員) 次に,人工知能AIによって行政の質の向上を図ることについて質問します。毎日のように,新聞紙上やテレビ,インターネットなどでAIという言葉を耳にします。AIとは,人間の知的ふるまいの一部をソフトウェアを用いて人工的に再現したものです。経験から学び,新たな入力に順応することで,人間が行うように柔軟にタスクを実行します。最近では,将棋の実力者にAIコンピューターが勝ったニュースや,家庭内で人の質問や要望に応えるAIスピーカーが話題ですし,AIを基礎技術として機能アップしたスマート家電が販売され,また自動車の自動運転が進んでいることなどは,目に見えて実感できる夢のある話です。報道によれば,日本航空は約50年間使い続けた自社開発の旅客システムから,人工知能AIを使ったシステムへ移行したところ,国際線はほぼ満席となり客単価が上昇し,今期は増益が見込まれるとのことです。旧システムでは社員の長年の経験に頼っていた需要予測が,使うほどに精度が上がるAIによって大幅にロスが減少,絶大な効果が上がっています。 行政分野でもAIの活用,研究が進んでいます。高齢者人口がピークを迎える2040年頃の行政の在り方を検討してきた総務省の自治体戦略2040構想研究会は,将来の労働力の大幅な減少を人工知能AIなどの先端技術で補い,役所の機能を維持するスマート自治体への転換の必要性を指摘しています。現在でも,横浜市ではごみ分別案内システム,東京都港区では議事録作成支援ツールが導入され,さいたま市では保育所の入所選考にAIを活用する実験が行われるなどの事例があります。一方,人工知能AIの行政分野での利活用については,日進月歩の技術に追い付き対応することができるのか,投資効果が期待できるのか,様々な制度改定に的確,迅速に対応できるのかなどの課題が指摘されています。これらの事例,課題を踏まえ,かつAIがいまだ発展途上の技術であることを鑑みると,私は,AIを万能視したり,表面上の市民受け的な活用を図るのではなく,AIの得意とする大量のデータを学習し傾向を予測したり,可能性を指摘する分野での利用を進め,例えば,市民からの問合せ対応,議事録作成,インフラ管理など,これまで人が経験則によって担ってきた業務の手助けにAIを活用して,職員の業務の質の向上と,ひいては満足度の高い行政サービスの向上につなげることで効果を上げるべきと思います。 そこでお尋ねします。このように大きな可能性を有している人工知能AI技術について,その得意分野をいかし,行政事務の効率化や生産性の向上を図るべく,本市においても,産官学連携の強みをいかしながら,しっかりと検討を行う時期に来ていると考えますが,現状と考え方をお聞かせください。 最後に,引き続く災害に対し,市民の命と生活を守る防災・減災の対応について質問します。私の住む西京区は,区基本計画に「西山の緑かがやき 未来をひらく西京区」とのキャッチフレーズが掲げられているとおり,豊かな自然の中で,人と人とが触れ合い支え合いながら生活をしているまちです。しかし,ひとたび災害に遭うと,桂川の増水や山間部の災害など,豊かな自然が一転して住民の不安を高める環境へと変わってしまいます。 (パネルを示す)西京区大原野の山間部,西山の上の大阪府高槻市との府境に外畑,出灰という集落地域があり,現在,外畑には17世帯32人,出灰には9世帯21人がお住まいです。この集落地域と京都市の市街地,すなわち洛西地域をダイレクトに結ぶ道路は府道733号柚原向日線のみです。また,う回路として,府道208号向日善峰線の終点の大原野小塩町の善峯寺から東海自然歩道が延び,杉谷集落を経て大原野森林公園手前で柚原向日線に接続しています。これら京都市内から通じている柚原向日線や東海自然歩道は幅員が狭く,曲がりくねったいわゆる山道で,普段はハイキングコースとしてその豊かな自然を楽しむハイカーも多いのですが,豪雨に遭うと道路のり面の土砂崩落が起こりやすく,たちまち通行止めとなってしまいます。 この度,7月に京都をはじめ西日本を襲った豪雨で柚原向日線が通行止めとなり,鋭意復旧工事が進められていました。そこへ9月4日の台風21号によって杉谷集落を通る東海自然歩道でも倒木があり通行不可,さらに亀岡市街と高槻市街を結び外畑,出灰集落へと通じている府道6号線も相次ぐ豪雨により,亀岡市側も高槻市側も通行止めとなって,外畑,出灰集落は一時孤立しました。9月6日には,府道6号線の亀岡側が復旧開通し,孤立状態は解消しましたが,住民の方々の不安はいかばかりであったろうと心が痛みます。また,現在でも柚原向日線は通行止めであり,杉谷集落を通る道は雨が続き危険とあって,外畑,出灰,杉谷集落地域の方は京都市民でありながら亀岡市街に下り国道9号線を回って京都市内に入らなければなりません。例えば役所の手続や郵便物の配送など,生活上のことを洛西地域に寄っている,これら山間部地域の方々にとって,京都市街と結ばれる柚原向日線が早急に復旧すること,さらには災害に強い道路として整備されることが,お住まいの方々のお気持ちに寄り添う意味からも極めて大切です。地元西京区のことを申し上げましたが,同じような課題は,市内山間部集落と市街地を結ぶ多くの山間部道路が抱えていると思います。豪雨や台風などの災害が次々に続く近年の状況を鑑みれば,山間部道路の防災対策は本市にとって喫緊の課題であります。必要な事前防災工事は予算配分も含めしっかりと行うべきですし,災害後の復旧見通しを住民と共有することも重要です。 そこでお伺いします。最近,台風などにより災害が多発している中,今年も7月の西日本豪雨,続く台風20号の豪雨,台風21号の暴風により市内各所の山間部に多くの災害が発生しています。医療活動や避難者への緊急物資の供給などに必要となる緊急輸送道路などの主要な道路に限らず,山間部の集落にとって重要な道路については,山間部の道路斜面が崩落すれば復旧作業に時間が掛かるなど,住民への影響が特に大きくなります。道路斜面の防災対策,なかんずく山間部道路の対策について,本市の現在の取組と今後の方向性についてお答えください。 また,今年の豪雨で西京区内でも土砂崩落などの被害が多発しました。とりわけ大原野小塩町地域では,民家近くの竹林の土砂崩落が相次ぎ,間一髪で生命の危険を免れたケースもありました。地元地域の方々から,当面の復旧と中長期的な砂防対策をしっかりと行いたいとのお声が上がり,8月には地元地域の方々と行政との建設的な話合いのテーブルが持たれました。これをキックオフとして,小塩町地域と行政が一体となって,当該地域の砂防対策が前進するように,京都市側の対応をお願いします。 ところで,このような場合,道路や河川の対応は建設局や現地の土木事務所,農林産業の対応については産業観光局,地域の窓口やコーディネートは区役所・支所と,本市の対応セクションが分かれます。また総合的な砂防対策は府の所管とのことです。さらに,当該地が民地の場合は法的課題もあります。しかし,住民の視点からは,住宅も道路も仕事場も全てが一つの生活の場です。私は,我が地域の防災対策に前向きに取り組んでいきたいとの市民の思いを受け止め,中長期的な視点を持った防災対策を行っていくためには,京都市としてこれまで以上に各区役所・支所を中心とした地域に寄り添った強力な防災体制づくりを進めるべきと考えます。本市の今後の地域防災体制の在り方についてお考えをお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 人工知能,すなわちAIの活用による行政事務の効率化や生産性の向上についてでございます。少子高齢化に伴う本格的な人口減少が進行していく中で,必要な市民サービスを効率的,効果的に提供していくためには,最新の情報通信技術の活用を戦略的かつ積極的に推進していくことが重要であると認識をしております。とりわけ,AI技術につきましては大量のデータを学習し分析することで,高度な分類,将来予測や作業の効率化,最適化を実現しようとするものであり,平山よしかず議員御指摘のとおり,行政事務の効率化や生産性の向上を図るうえで大きな可能性を有していることから,市政の様々な分野において,国や企業などとの連携の下,積極的に研究,検討を行うこととしております。例えば,本市では,本年2月に京都市動物園におきまして,AIを搭載した対話型ロボットを使い,来園者がロボットと会話をしながら動物の知識を得ることができる実証実験を実施しましたほか,国においても,観光や交通の分野で,京都市内の交通流動データを分析し,観光ピーク期などの交通渋滞対策を検討するためのAI技術を活用した実証実験を予定されておりますので,折角京都市内で実施するということを選定いただきましたので,本市も国としっかり連携をして共に進めてまいります。さらに今回,調査費の補正予算を御議決いただきました自動運転等の新たな技術を活用した都市交通システムにおきましても,AIの活用を想定しております。一方,今なおAIは発展中の技術でありますことから,費用対効果など様々な課題がございますが,先端技術の研究,開発に取り組む大学,企業が集積をします本市の強みをしっかりといかしつつ,行政事務につきましても,例えばAIによる音声認識技術を活用した議事録作成や,寄せられた問合せを自動的に解釈し,最適な回答を導き出す対話型の質問回答システムの導入などの試行的な取組に挑戦してまいりたいと考えております。このようにAIをはじめとした新たな技術をその強みがいかせる業務に積極的に活用することにより,生産性を高め,市民サービスを効率的かつ安定的に提供してまいります。私からは以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 私からは,防災対策についてお答えを申し上げます。今年はこれまで7月豪雨,台風20号,21号の影響によりまして,山間部では多くの道路で斜面,あるいは路肩が崩壊をし,過去に例を見ない規模の倒木被害が発生をしております。この復旧に当たりましては,地元の御協力を得ながら,まずは主要道路の通行を確保するというところに注力をしてきたところでございます。しかし,多くの災害が重なったことによりまして,いまだ通行規制を行っている道路もございます。現在,その早期解除に向けて,鋭意取組を進めているところでございます。言うまでもありませんけれども,山間部の集落は災害による道路の通行止めによりまして孤立化が発生をいたします。また,仮にう回路があっても,バスが運行休止となるなど,市民生活に大きな支障が生じます。そこで,防災対策工事を重点的かつ計画的に進めるという意味で,平成28年度に策定いたしました道路のり面維持保全計画におきましては,緊急輸送道路,あるいは災害発生時における市民生活への影響の大きい道路を対策優先箇所として選定をいたしたところでございます。目下の厳しい財政状況の中ではございますが,自然災害を未然に防止するために,引き続き,この計画に基づきまして総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 次に,地域防災体制でございます。地域のニーズを踏まえた防災の取組を展開していくためには,御指摘いただきましたように,地域に最も身近な区役所・支所を中心とした防災体制づくりが重要でございます。このため本市では,全ての区役所・支所の地域力推進室に総務・防災課長,及び地域防災係長を配置して体制を強化を図っておりますほか,災害の発生時には,建設局あるいは消防局から必要に応じまして,各区役所・支所に情報連絡員,いわゆるリエゾンというわけでございますが,これを派遣するなど,円滑な情報共有などのための体制を構築しております。しかしながら,今回災害発生後の被災者支援業務などを含めまして,特定の部署に負担が集中するなど様々な教訓がございました。今,改めて業務継続計画を検証いたしまして,ふくそうする災害対応業務にしっかりと対応できるように,応援,連携体制の更なる強化などに取り組んでまいりたいと考えております。また,これに加えまして,京都府あるいは通信事業者などの民間事業者との連携につきましても,より深化させるべく体制づくりを進めてまいりたいと,このように考えております。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(湯浅光彦) 次に,市政一般について,国本友利議員に発言を許します。国本議員。 〔国本友利議員登壇(拍手)〕 ◆(国本友利議員) 左京区選出の国本友利です。平山よしかず議員に続き,この後の久保勝信議員と共に公明党京都市会議員団を代表し市政一般について質問をいたします。市長並びに関係理事者におかれましては,明快な御答弁をいただきますようお願いいたします。 まずは,本年に起こりました6月大阪府北部地震,7月西日本豪雨,9月台風21号並びに北海道胆振東部地震によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに,被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。あわせて,被災地の一日も早い復旧,復興をお祈り申し上げます。 京都市においては災害に強いまちづくりを目指し,レジリエント・シティの取組,住宅の耐震化促進,雨に強いまちづくりなど防災対策について幅広く取り組まれているところですが,本年起こった幾つかの災害について,新たな課題も浮き彫りになっているものと思われます。まずは,これらの災害対策に関する課題について,数点にわたり質問をいたします。 初めに,災害時の情報伝達についてお伺いいたします。9月4日に本市に最接近した台風21号は,京都市内で最大瞬間風速39.4メートルを記録し,戦後最大級の暴風となり,広範囲にわたり停電,倒木,住宅や公共施設の損壊に併せ,文化財についても甚大な被害をもたらしました。左京区でも住宅の損壊が多く発生し,北部山間地については多くの倒木により道路が通行止めとなり,孤立状態となった地域もあったうえ,1週間以上停電が続いた地域もありました。今回の停電については想定を超える規模であったことから,停電範囲を送配電の状況から自動的に把握する関西電力のシステムにも障害が発生したうえ,多くの倒木により復旧作業が難航を極めました。その中で,被災された地域から多くの声が寄せられたのは,情報伝達についてであります。停電時においては,固定電話,携帯電話,テレビ,インターネットなど電源を必要とするものについて使用できず,ラジオについても山間部等については電波が入らない地域もあるため,道路の利用状況や停電に関する情報などが得られないという不安の声が多数寄せられました。停電については関西電力とも連携を図り,道路の復旧状況などと併せ,本市による速やかな情報収集と共に,地域の方々への情報の伝達が何より重要です。 京都市地域防災計画の一般災害対策編において,第3章災害応急対策計画の第4節に広報・広聴活動として,総合的な広報体制を整えるとし,避難指示,避難勧告などの緊急広報に加え,被災者に対して,災害情報,生活関連情報,救援措置情報などを一般広報として届けるとされています。一般広報としては本部における一般広報と現地広報があり,現地においても災害復旧状況等について広報するものとされています。災害時における停電等においては現地広報が重要であります。特に山間地においては高齢者が多く,分かりやすい情報提供が必要不可欠です。また,私の下には,山間部にお住まいの住民に関し,市内部在住の御家族の方々から停電の状況や道路復旧に関して多くのお問合せもありました。この度の台風21号を教訓として災害時の情報伝達の在り方について検証し,課題解決に向けた取組を行うべきと考えますが,いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に,災害時における避難所のトイレの問題についてお伺いいたします。大規模災害時における避難所については,京都市地域防災計画に基づき,地域の自主防災会の御協力を得ながら,避難所運営マニュアルの策定や避難訓練に取り組まれているところであります。また,阪神・淡路大震災をはじめとして,各地で地震災害や大雨を起因とする土砂災害を受け,避難所において大きな課題となっているのがトイレの問題であります。今までの震災や災害においての様々な調査結果によると,トイレの問題が上位にあります。阪神・淡路大震災でトイレの問題が指摘されてから23年が経過する中で,いまだ解消し切れない大きな課題であります。内閣府では平成28年4月に,避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを策定し,避難所におけるトイレの環境改善に向けた指針を提示しています。その中では,避難所の施設によっては,和式便器のトイレが多く,また仮設トイレにも和式便器が多いことにより,足腰の弱い高齢者や車椅子使用の身体障害者にとってはトイレの使用が極度に困難となる,トイレの使用がためらわれることによって,排せつを我慢することが,水分や食品摂取を控えることにつながり,被災者においては栄養状態の悪化や脱水症状,エコノミークラス症候群などの健康障害を引き起こすおそれが生じると示されており,避難所におけるトイレの環境改善を平時から行っておくことの重要性が示されています。 京都市では,地域防災計画の中でし尿処理対策が掲げられ,仮設トイレの設置や運用,環境管理やし尿処理,仮設トイレの撤去に至るまでの計画が示されております。また,災害用備蓄として,携帯トイレ,簡易トイレの備蓄もされていると伺っております。その中で本市においては,避難所となる学校などに上下水道局が災害用マンホールトイレを順次整備をされております。災害用マンホールトイレは下水道に直結し,便層の管内に一定の水を貯留しておき,下流に設置したゲートを開くことにより,たまった汚物を下水道に排出するもので,設置された避難所地域の皆様には,避難訓練の際にも設置訓練などをしていただき,活用に向けた取組がされているところであります。そのうえで,マンホール上に組み立てる災害用組立トイレについては,災害備蓄品として現在和式便座が用意されているところです。和式便座については地域の方々からも,高齢者が多く和式が利用できない,また,一般の御家庭での洋式トイレ普及に伴い,子供が和式を利用できないとのことで,洋式化ができないものかといった声を多く頂いています。国土交通省の発表によると,熊本地震におけるマンホールトイレについては,洋式のものが整備され,高齢者に好評であったとのことです。現在,避難所となる学校においてトイレの洋式化が順次進められる中で,災害時に必要となるマンホールトイレについても,平時のうちに洋式化を進めるべきと考えますが,いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に,住宅の耐震化についてお伺いいたします。本年6月に発生した大阪府北部地震においては,最大震度6弱を観測し,京都市においても震度5強の地震が起こりました。それにより,屋根瓦や壁の崩落による住宅の損壊が多数発生したところです。近畿地方においては,阪神・淡路大震災以来の大きな地震に改めて,地震に対する備えが必要であると改めて痛感させられました。京都市においては,新たな京都市建築物耐震改修促進計画を平成28年3月に策定,平成29年9月に改訂し,現在,建築物の耐震改修に取り組まれているところです。計画期間は平成37年度末で,耐震化率の目標値について,住宅は平成27年度末時点の84.7パーセントから95パーセント,特定建築物については86.8パーセントから95パーセント,市有建築物の耐震化については93.9パーセントから100パーセントとすることを掲げられています。計画については昭和56年5月31日以前の住宅,建築物について重点的に促進されると掲げられているところです。京都市においては住宅について,耐震化促進を図るため,まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業や京都市耐震改修促進ネットワーク会議などの取組により,住宅の耐震化を進められています。そのうえで,今回の大阪府北部地震や北海道胆振東部地震を受け,本市でも,いつ地震が起こるかもしれないという危機感を持つことが非常に重要です。市民の命を守るための住宅,建築物の耐震化の進捗状況と今後の展開についてお伺いいたします。 あわせて,市営住宅についても対策が必要であります。平成23年策定の京都市市営住宅ストック総合活用計画によると,耐震性能別に市営住宅の管理棟数で見ると,新耐震基準を満たしており補強の必要のない住棟の割合は,市営住宅全体の約52パーセントであり,一方,新耐震基準を満たしておらず,特に補強が必要な住棟の割合は市営住宅全体の約16パーセントであります。市営住宅においては耐震改修工事は順次進んできてはいるものの,今なお多くの住民が耐震化されていない住棟に居住されているのが現状であります。 そこで市営住宅について,現時点での耐震改修の進捗状況はいかがでしょうか。あわせて,今回の大阪府北部地震,北海道胆振東部地震を受け,今後どのように進めていくお考えでしょうか。まずは,これらの災害対策について答弁を求めます。 ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 国本友利議員の御質問にお答えいたします。 災害時の情報伝達についてでございます。災害発生時は,状況が刻々と変化する中,市民の皆様に適切な避難行動等を取っていただくためにも,避難勧告等の緊急情報はもとより,災害の状況等について的確に情報発信しお伝えしていくことが何よりも重要であります。先般の台風21号では,強風による倒木等により,本市においても道路の通行止めや数万軒に及ぶ大規模な停電が発生しました。地域の皆様と土木事務所が連携し倒木の除去などに全力で取り組み,道路の通行止めの解消,特に工事用緊急車両が通行可能な状況にすることにより関西電力による停電対応の大きな助けとなりました。しかしながら,山間部を中心とした地域では,電線に寄り掛かっている倒木の除去等につきましては,関西電力でなければ対応できない箇所が多く,停電の復旧に長期の時間を要することになりました。この間,電源を必要とするテレビや固定電話などが使用できず,生活の維持に必要な重要な道路の復旧状況,停電の復旧見込み等の情報さえも得にくい状態が続くこととなりました。こうした状況を踏まえまして,関西電力には,停電が長期間にわたったことに関する対応の総括と,災害時における早期復旧に向けた具体策の構築について強く申し入れたところであり,引き続き,的確な対応を求めてまいりたいと考えております。 国本議員御指摘の現地広報につきましては,区役所を中心に,地域の皆様にも多大な御協力を頂きながら,現場での丁寧な対応に努めましたが,改めて,災害時,とりわけ停電発生時における情報伝達や広報活動に関する組織的な体制についても検証を行ってまいります。あわせまして,停電時の緊急対応といたしまして小型発電機などの代替電源の確保についても具体的に検討してまいります。 次に,建築物の耐震化についてでございます。本市では平成28年3月に,「京都に息づく「ひと」と「まち」の“いのち”を守る」をコンセプトとした新たな建築物耐震改修促進計画を策定し,地域の皆様や事業者との連携の下に建築物の耐震化を進めてまいりました。住宅の耐震化につきましては,特に昭和56年以前の木造住宅が大きな課題であり,リフォーム工事に併せて手軽に利用できるまちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業を核に,地元の大工さんや左官屋さん,瓦屋さん,板金屋さんなどといったまちのたくみとの協働組織である耐震ネットワークが主体となって,地域の皆様と共に耐震化の重要性についての啓発に努め,耐震化の促進につないでまいりました。この結果,耐震改修工事を手掛けたまちのたくみの人数は年々増加し,これまでに約1,000名の方々によって4,000件を超える耐震改修工事が行われてきております。市民やまちのたくみが主体となった耐震化の取組が定着しつつあると実感いたしております。大阪府北部地震の後,耐震診断は前年同期の3倍以上,まちの匠事業は前年同期の約2倍の申込みをいただいており,市民の皆さんの意識が高まっているこの機会に,安心安全で災害に強い歴史都市・京都の実現を目指し,住宅耐震化の取組を引き続き強力に進めてまいります。 次に,市営住宅につきましては,京都市市営住宅ストック総合活用計画に基づき,順次耐震改修等を進めており,本年8月時点で約4,400戸の耐震改修等を進め,市営住宅全体の耐震化率が約76パーセントとなっております。しかしながら,国本議員御指摘のとおり,今なお耐震化されていない住棟にお住まいの方がおられるため,引き続き耐震改修等の着実な進捗を図るとともに,現行の耐震基準を満たしている住戸への住替えも含めまして,お住まいの方の地震に対する早期の安全確保に努めてまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 私からは,避難所のトイレについてお答えを申し上げます。本市では,平成26年3月に策定いたしました京都市備蓄計画に掲げる整備目標に基づきまして,避難人数あるいは避難所数に応じました貯留式の仮設トイレあるいは簡易トイレ等の備蓄に取り組んでおりまして,必要な目標数を確保しているところでございます。また,大規模災害時に避難所となる小中学校におきましては,防災機能の強化に着目した体育館の整備を進めますとともに,トイレの洋式化も進めているところでございます。御指摘にございましたマンホールトイレでございますけれども,平成23年度から広域避難場所に,そして平成25年度からは避難所となる小中学校などの防災拠点に計画的に整備を進めておりまして,平成29年度末までに合計85箇所に設置をしております。避難所などにおけますトイレの洋式化でございますけれども,災害時においても高齢者あるいは障害者の方をはじめ,誰もが使いやすいトイレ環境として非常に有効なものであるという風に考えております。東日本大震災や熊本地震,また今年も大阪府北部地震や北海道胆振東部地震が発生しておりますが,こうした地震での被災地の状況も踏まえまして,避難所等における災害用マンホールトイレの整備を着実に進めますとともに,既存の和式のマンホールトイレに簡易の洋式便座を上置きする手法なども含めまして,マンホールトイレの洋式化にも取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
    ○副議長(湯浅光彦) 国本議員。 〔国本友利議員登壇〕 ◆(国本友利議員) 次に,身近な公園の再整備についてお伺いいたします。公園は,市民の日常生活に密接した重要なオープンスペースであり,特に住区基幹公園は気軽に利用できる身近な空間として市民の暮らしに貢献してきました。京都市においては,京のみどり推進プランに基づき,公園整備を推進されてきました。平成29年度末現在の京都市の公園面積は715万6,418平方メートルで,市民一人当たりの公園面積は4.88平方メートルです。平成28年度と比較すると,公園の数では8公園,面積では2万1,516平方メートル増加し,市民一人当たりの公園面積は0.02平方メートル増加しています。一方で,少子高齢化の進行や市民の価値観の多様化などの社会情勢が変化する中で,より地域の状況に応じた公園の整備や管理運営が求められています。 国においても,平成28年5月に,新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会最終報告書が発表され,新たなステージに向けた緑とオープンスペース政策の展開について今後の方向性が示されたことから,各都市でも市民のニーズに柔軟に対応する公園の在り方について模索が進んでいます。 我が国は,急激な高齢化の進行と晩婚化,出生数の減少により,人口減少社会に突入しています。全国の人口は平成20年をピークに減少しており,こうした人口減少社会を見据え,国では,コンパクトなまちづくりを推進するために立地適正化計画の制度を創設しています。こうした動きを捉え,京都市の都市公園においても,人口減少やまちの変化に応じた公園計画や配置の見直しが必要な時期に来ています。また,市民の暮らし方や働き方,家族の在り方など,ライフスタイルや価値観は多様化してきています。一方,経済的な満足だけでなく,地域の歴史や伝統又は自然,文化といった側面の満足による生活の質の充足への価値が高まっています。ライフスタイルや価値観が変化する中で公園の利用方法やニーズも多様性を増し,公園も多様なライフスタイルや価値観に対応して変化していくことが求められています。 京都市においては,梅小路公園をはじめとする大規模公園の整備が進められているところでありますが,市民にとって身近な公園である街区公園の老朽化が進んでおり,再整備が求められているところです。公園については地域ニーズに対応したものが必要であり,大規模な再整備もさることながら,小規模な公園のリノベーションが有効と思います。ここで言うリノベーションとはハード整備だけでなく,ソフト面での公園の利活用について,地域も含め検討すべきと考えます。既に公園の再整備については,地域でのワークショップなどが行われているところです。そのうえで,一律のものではなく,特色ある公園の再整備も必要です。そのために昨年,国において都市公園法が改正され,民間活力の導入が可能となったパークPFIの活用も有効と考えます。パークPFIについては平成29年9月市会において,我が会派の平山よしかず議員が西京区の公園再整備について質問したところでありますが,身近な公園についても,民間活力をいかしたリノベーションの可能性も検討すべきと考えます。市民に愛される身近な公園のハード,ソフト両面での再整備を進めるべきと考えますが,今後の方針についてお伺いいたします。 次に,乳幼児における小児がんの早期発見についてお伺いいたします。小児の死亡原因の第1位は小児がんとなっております。しかしながら,小児がんの発症数は年間に2,000から2,500と少ない状況にあり,さらには小児がんを扱う医療施設は全国に200程度しかなく,多くの医療機関では小児がんに関する医療経験が乏しい中,小児がん患者は適切な医療を受けられないことが懸念されています。そのような中,国では2012年6月に閣議決定したがん対策推進基本計画において,重点的に取り組むべき課題の一つとして,新たに小児がん対策が掲げられました。基本計画の中では,小児がん患者とその家族が安心して適切な医療や支援を受けられるような環境の整備を目指し,5年以内に小児がん拠点病院を整備し,小児がんの全国の中核的な機関の整備を開始することが目標に定められました。これを受け,昨年より全国15箇所に小児がん拠点病院を指定し,質の高い医療の提供と相談体制の充実が図られています。そのうえで,がん対策については,成人はもとより乳幼児についても早期発見に向けた市民への啓発が何より重要です。京都市においても小児がんについて,早期発見に向けた取組を進めるべきと考えます。 そのうえで,今回は網膜芽細胞腫という目のがんについて取り上げたいと思います。 (パネルを示す)網膜芽細胞腫とは目の網膜に発生する悪性腫瘍で,乳幼児に多い病気であり,出生児の1万5,000人から1万6,000人につき一人の割合で発症しています。通常の場合,網膜に腫瘍ができると視力が低下しますが,乳幼児はまだ物が見える,見えないという状態がよく分からず,その状態を伝えられないことから,発見されたときには進行している場合も少なくありません。ある程度進行すると,目が白く光って見える白色瞳孔や左右の眼球の向きが合っていない状態,斜視の症状が現れます。こうした症状に家族が気付いて受診される場合が多く,95パーセントが5歳までに診断されます。腫瘍が眼球内にとどまっている場合,眼球を摘出しないで可能な限り残す方針で治療することが可能なため,早期発見が何よりも重要です。京都市においては乳幼児健診の際に,医師診療所見欄に,白色瞳孔や斜視の疑いの有無についての項目を記載し,早期発見の取組を行っているところです。乳幼児健診については,4箇月,8箇月,1歳6箇月,3歳と一定の間隔で健診が行われるため,先にも述べたように,家族の気付きが何より重要です。京都市の幾つかの保健福祉センターでは網膜芽細胞腫の子供を持つ家族の会「すくすく」のポスターが掲示され,白色瞳孔や斜視について写真で分かりやすく掲載されています。そこで,網膜芽細胞腫の早期発見を図るため,保健福祉センターへのポスター掲示や眼球の白色瞳孔や斜視について分かりやすく写真などを京都市のホームページやはぐくみアプリに掲載し,啓発を図ることが有効と考えますが,いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 小児がんの早期発見についてでございます。子供の疾病や異常を早期に発見し,適切な医療につなげることは,大切な子供さんの命を守り,健やかな発育につなげるために大変重要なことであると認識しております。小児がんの一種である網膜芽細胞腫については,国本議員御指摘のとおり,早期に発見することが何より重要であることから,生後4箇月,8箇月,1歳6箇月,3歳3箇月の乳幼児健診の際に,本市独自の健診マニュアルに基づき症状の確認を行い,疑いがある場合には精密検査を勧奨し,検査に係る費用も全額公費で負担をいたしております。また,母子健康手帳にも,網膜芽細胞腫の特徴的な症状である,瞳が白く光って見えるなどの白色瞳孔の有無をチェックする項目と,そのような症状が見られる場合には,速やかに眼科受診することをお勧めする文章を掲載しております。加えて,症状が確認しやすくなる頃である8箇月児健診におきまして,保護者のチェックに基づき,保健師による聴き取りや助言を行っており,これらの取組については,引き続き着実に実施してまいります。さらに,早期発見のためには,家庭における気付きが重要であるため,先ほどパネルでも御紹介いただきましたように,網膜芽細胞腫の症状例である白色瞳孔や斜視の写真等を本市のホームページや京都はぐくみアプリに掲載するとともに,全ての子どもはぐくみ室に啓発ポスターを掲示し,更なる普及啓発のための取組を進めてまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 鈴木建設局長。 〔鈴木建設局長登壇〕 ◎建設局長(鈴木知史) 公園の再整備についてでございます。本市では約900の公園を管理しておりますが,その多くで老朽化が進んでおりますことから,厳しい財政状況下にはございますが,円山公園などの大規模公園と併せて,市民の皆様にとって身近な街区公園につきましても,整備費の軽減を図りながら,順次再整備に取り組んでいるところでございます。そうした中,昨年6月に都市公園法が改正されまして,公募設置管理制度,いわゆるパークPFIの導入が可能となりました。これは,公募により,都市公園内に飲食店,売店等の施設の設置を認める代わりに,当該施設から生じる収益を園路,広場等の周辺施設の整備に充てるもので,民間活力による新たな都市公園の整備手法でございます。本市におきましては,まずは大宮交通公園の再整備にこの制度を活用したいと考えており,本市会に制度の適用に必要となる都市公園条例の改正議案を提出させていただいているところでございます。この制度は,公募対象施設で収益を生み出せることが前提でございまして,比較的大規模で利用者の多い公園での活用が想定されますが,国本議員御指摘の身近な小規模な公園におきましても,商業地域や駅周辺等に立地する公園では制度活用の可能性もあるものと考えてございます。今後,公園の再整備に当たりましては,民間活力の活用の可能性を見極めたうえで,ワークショップなどにより地域の皆様とも意見を交わしながら,市民に愛される魅力ある公園づくりに努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(湯浅光彦) 次に,市政一般について,久保勝信議員に発言を許します。久保議員。 〔久保勝信議員登壇(拍手)〕 ◆(久保勝信議員) 山科区選出の久保勝信でございます。平山よしかず議員,国本友利議員に引き続き,市政一般について質問を行います。市長並びに副市長,関係理事者の皆様には,市民の皆様に分かりやすい御答弁をお願い申し上げます。 去る9月1日号の市民しんぶんで,パリとの友情盟約締結60周年が特集されておりました。9月16日には京都駅ビルにおいてパリの夕べが,来週にはニュイ・ブランシュKYOTO2018が市内40箇所以上で開催されるなど,秋にはパリに関連した様々な催しが京都で予定されております。そこで,まず初めに,パリ市との姉妹都市交流の意義などについてお伺いいたします。 姉妹都市連携の発想は,第二次世界大戦後,その反省を踏まえて,国境を越えて市民同士が草の根レベルの交流を行い,相互理解を深めることで,国と国との衝突の回避を図り,ひいては世界平和に寄与することを目的として生まれたものであります。本市では,パリ市をはじめ平成8年に締結したプラハ市まで9都市が姉妹都市として提携しております。パリ市は本市にとっての初めての姉妹都市であり,世界に無二の文化を持つ両市は,昭和33年に友情盟約締結以来,戦後の海外渡航の難しい時代から長年にわたって友情を深めてきました。今年の6月には,本市とパリ市の友情盟約締結60周年を記念して,門川市長,寺田議長をはじめとする京都市の代表団がパリ市を訪れ,パリ市庁舎でのパリ市長への表敬訪問や記念式典の開催,ビジネス交流や動物園交流,子供たちの絵画を通じた交流など,様々な分野での京都市とパリ市の交流が深められました。そして,パリ市長との会談では,友好関係の一層の深化,共通課題の取組に向けた交流,都市政策に関する対話と協力などの意見が交わされ,その内容を政策協定の合意文書として共同宣言にして,両市長及び京都市会議長による署名を行いました。地球温暖化やテロなど,国境を越える問題が世界で深刻化する中で,奥深い歴史や文化を持つ両市が連携を強めて対応する重要性を確認し合えたのではないかと考えております。そこで,今回,パリ市との間で結ばれた政策協定を踏まえて,これからのパリ市との姉妹都市交流の意義や,更なる深化に向けてどのようにリーダーシップを発揮されていかれるのか,市長の御決意をお伺いいたします。 次に,増加する外国人労働者と留学生に対する支援についてお伺いいたします。世界のグローバル化や国内の急激な人口減少と高齢化が進展する中において,中小企業をはじめとする人手不足は深刻化しており,政府においても,経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針)で,外国人に対する新たな在留資格の創設を打ち出し,特に人手不足が深刻な分野に限定して最長5年の就労資格を認めることにし,併せて留学生の就職支援策の受入れ拡大も明記しました。今,日本で働く外国人労働者が2017年10月時点で128万人を突破し,国籍別では,中国の37万2,000人,ベトナムの24万人,フィリピンが14万7,000人で,増加率ではネパールも31パーセントと大幅に伸びております。また,外国人労働者の割合は,定住者が45万9,000人,留学生のアルバイトが29万7,000人,技能実習生が25万8,000人,そして専門技術分野が23万8,000人となっており,国が国際貢献の名目で1990年に創設した外国人研修制度から始まり,現行の外国人技能実習制度を使って,技能実習生の割合は前年比で22パーセント増と急伸しており,今のペースで増え続ければ5年後には50万人に達すると言われております。 さて,京都における外国人住民の特徴の一つとして,留学生の多さが挙げられております。2017年現在の大学などに在籍する留学生は約8,300人となっており,高度な学力と旺盛な向上心を持つ若き留学生がこの京都で学び,暮らし,日本と母国,そして国際社会をつなぐ架け橋となっていることは大変すばらしいことであります。しかしながら,そのうち経済的な支援がある国費・政府派遣の留学生は僅か12パーセントであり,残る88パーセントは私費留学生であります。これに加えて,日本学生支援機構の調査によれば,日本語教育機関に在籍する留学生も2017年現在で約2,200人います。厚生労働省がまとめた2017年調査で,外国人雇用状況の届出状況まとめによれば,資格外活動を行っている留学生は約2,800人となっていますが,これらの私費留学生の多くは,アルバイトなしでは日本滞在に必要な学費や生活費が賄えないものの,入管難民法で資格外活動として認められている週28時間以内の就労制限を守らなければならず,破れば不法就労として摘発対象となります。しかしながら,実際には就労制限が守られていないケースが多々あると指摘されております。特に,出稼ぎ目的の,いわゆる出稼ぎ留学生の存在があります。教育よりも学費徴収などによる収益や不法就労のあっせんに熱心な名ばかりの日本語教育機関や就労制限を守らない事業主など,留学生の人権を無視し,生活環境さえ悲惨な中に置かれているとも聞きます。本市としても,外国人労働者と留学生のアルバイトなどの実態調査を行うとともに,情報提供や生活相談の支援をすべきと考えますが,御見解をお伺いいたします。 また,市内においては,多くの中小企業が求人を出しても人が集まらず,苦労されている現実がある中で,一方で,大学のまち京都において,多くの優秀な留学生が京都で,日々,日本語や京都の文化をはじめ,自身の研究に励んでおられます。これまで本市が取り組んでこられた留学生誘致対策と市内就労に向けた取組は,今後ますます重要な政策に育っていくものと考えますが,併せて御見解をお伺いいたします。 次に,新学習指導要領の下での開かれた教育課程,更なる教育力向上の取組ついてお伺いいたします。さて,来年は,明治維新により荒廃した京都のまちで,町衆たちが子供たちの教育さえしっかりとすれば未来は大丈夫だと,明治2年に,学制発布に先立ち,かまど金と言われるそれぞれの家庭の私財を持ち寄り,番組小学校を創設してから150周年という節目を迎えます。そうした京都の教育の節目を迎える中で,去る7月末に発表された今年度の全国学力学習状況調査で,京都市の成績は小学校で政令市1位となり,都道府県単位と比較しても,小学校で5位,中学校で12位と良好な結果となりました。私はこれまでの学校現場の教職員の皆様,教育委員会,そして保護者,地域の皆様が一体となって,市民ぐるみ,地域ぐるみで進めてきた本市の教育改革の取組の成果が,着実に子供たちの学力に結び付いた結果であると高く評価している一人であります。 一方で,再来年2020年度の小学校を皮切りに,新学習指導要領が全面実施されることとなっております。この新学習指導要領では,その中核の理念とされている社会に開かれた教育課程の実現など,本市のこれまでの実践がモデルとなり,全国展開につながったとのことですが,現在,本市の各小中学校では,新学習指導要領で提起された,主体的で対話的な深い学びやカリキュラムマネジメントなどの課題を,どう教育課程に落とし込むのか,研究と実践が進められていると伺っております。そうした中,今後,プログラミング教育などの新たな取組への対応も求められますが,そうした課題の一つ一つについてもしっかりと対処していただきながら,社会の変化が加速度を増し,複雑で予想困難な未来においても,子供たちがたくましく生き抜いていくための確かな力を育む教育実践を進めるために,本市の教育の更なる充実が期待されているところであります。 さて,そこでお伺いいたしますが,これまでの成果に甘んじることなく,新学習指導要領が想定しているAI人工知能などが発達した2030年の社会も見据え,どのように子供たちに必要な力を育んでいくのか,研究,研修,実践を重ね,教員の指導力を高めながら取組を進めていくことが必要であると考えます。主体的で対話的な深い学びをはじめ,新学習指導要領が提起する課題を踏まえた授業改善などに向けて,教育委員会として今後どのように取り組んでいかれるのか,教育長の御見解をお伺いいたします。 ここまでを前半の質問といたします。 ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 久保勝信議員の御質問にお答えいたします。 まず,パリ市との交流についてでございます。京都市とパリ市は本年60周年を迎えましたが,この間,様々な面で市民ぐるみの交流が深まってまいりました。例えば,フランスの総領事館が京都に移転されたのをはじめ,現在,京都市内にはフランスの政府関係機関が六つ存在しております。京都市内のフランス人在住者はこの10年で2倍以上に,フランスからの宿泊観光客は11万5,000人と3倍以上になりました。パリの白夜祭に合わせて開催される現代アートの祭典,ニュイ・ブランシュKYOTOは,今年で8回目を迎え,市民をはじめ,国内外の方々が現代のフランス文化の粋に京都で親しんでいただく絶好の機会となっております。一方,パリでは,日仏友好160周年記念の最重要企画として,この秋,琳派や若冲をはじめ,京都ゆかりの作家の現代アートなどが展示され,さながら秋のパリが京都一色になっているかのようであります。パリと京都の交流は,近年,京都の伝統産業とパリのデザインの融合など,経済や産業分野でも連携が深まり,広がってきております。さらに本年6月,パリ市役所において,寺田議長と共にパリ市長と政策協定を締結しました。これは地球温暖化問題,環境問題につきまして,京都議定書からパリ協定へと発展する中で,両市が世界をけん引する環境問題をはじめ,持続可能な都市として,都市のレジリエンスなどの政策を学び合うことで共に発展するというものであります。新たな交流の段階を迎えていると実感いたしております。また,歩くまち京都,公共交通優先の取組,あるいは文化を中心とした都市機能など共通の都市課題等について,パリ市との対話を進めることで,両市の政策に更に磨きを掛け,都市間交流のモデルとなる取組をしっかりと推進してまいります。 次に,留学生と外国人労働者の増加に向けた支援についてでございます。人口減少が進み,あらゆる産業の担い手確保が喫緊の課題となる中,意欲にあふれた留学生や専門職業等の外国人労働者が京都に来ていただき,定着し,将来の京都の担い手になっていただくことは,必ずや本市にとっても大きな財産になるものと考えております。本市では,既に138箇国の地域から1万991人の留学生が学ぶ世界に開かれた大学の街,学生の街でありますが,今後,更に留学生を増やすための施策を総合的に推進していくことが不可欠であります。この間,大学コンソーシアムや大学,日本語学校,経済界等と留学生スタディ京都ネットワークを設立し,オール京都で留学生の誘致に積極果敢に取り組む体制を構築してまいりました。さらに,関係機関と連携し,中小企業,地域企業における担い手確保を目的として,留学生と京都企業を対象とした求人,求職のウェブサイト,ハタ洛の開設や交流会の開催など,留学生の市内就労に対する支援を行っております。また,留学生や外国人労働者が,安心して学び,働くことができる環境づくりに向けまして,これまでから多言語による生活情報の発信や各種相談を実施してきており,今後更なる取組として,外国人労働者の雇用実態等を把握するためのアンケート調査や企業訪問等を積極的に実施してまいります。引き続き,京都の持続的な発展のために,多くの留学生や専門職等の外国人労働者が京都で生活し,交流し,就職し,京都に住み続けていただくための施策に全力で取り組んでまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 新学習指導要領の全面実施に向けた取組についてでございます。この度の新しい学習指導要領では,国における議論に本市関係者も参画し,本市がこの間,何を学んだかだけではなく,どのように学び何ができるようになったかという視点で先進的に取り組んできた市民ぐるみ,地域ぐるみでの教育改革の成果がいかされております。そうした下で,久保勝信議員御指摘のとおり,AIや情報技術の飛躍的進化により,複雑で予測困難な未来を見据え,子供たちが知識の量だけでなく,自ら学ぶ意欲を持ち,学んだことをいかして,より良い社会と充実した人生の作り手となることが求められております。本市では,こうした新しい学力観に基づいて確かな力を子供たちが身に付けられるよう平成32年度からの新しい学習指導要領の全面実施に向けまして,何より必要とされる教員の意識改革と授業力の向上のため,主体的,対話的で深い学び,いわゆるアクティブラーニングや教科等を横断して編成し実施,評価,改善していくカリキュラムマネジメントなど新しい学習指導要領が提起する重点課題についての研究指定を平成28年度から開始し,今年度は170校程度にまで拡大するなど先進的な実践研究に取り組んでおります。また,全校の教務主任,研究主任を対象とした研修会を開催し,その研修内容を徹底する校内研修を全校で実施するなど,一人一人の教員の意識改革と指導力向上に努めております。さらに,授業改善の手法を示すチェックリストやワークシートを本市独自で作成し,本年4月に全ての教員に配布し実践を促すなど,個々の教員の授業力向上につなげる取組を進めており,新しい学習指導要領が提起する新たな学力観を踏まえ,今後とも更なる授業改善に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(湯浅光彦) 久保議員。 〔久保勝信議員登壇〕 ◆(久保勝信議員) 次は,地域共生社会の実現に向けた地域福祉の取組についてお伺いいたします。地域福祉は,日々の暮らしの場である身近な地域で生じる様々な課題を解決に導くために,住民の皆様や行政,関係機関と共に取組を進め,地域をより良くしていこう,困難を抱える方に寄り添っていこうという地域共生社会を目指していくものであります。しかし,本市における地域福祉の取組に関する市民意識調査の回答でも,近隣での助け合いが減少傾向にある,住民の交流が進まず,つながりが希薄化している,地域福祉活動を担う人材不足の拡大などの課題も挙げられております。さらには,核家族化,未婚率の上昇といった家族形態の変化や非正規雇用の増大など,雇用形態の変化に起因する生活困窮者の増大,地域住民同士の人間関係の希薄化など,現代社会ならではの生活課題が生まれてきております。しかし,この度の大阪府北部地震や平成30年7月豪雨などの大規模自然災害から,住民の皆様が身近な地域でお互いに助け合い,支え合うことの尊さを改めて教えられました。こうした時代と共に変化する課題に対応するために,これまでの福祉サービスは,高齢,児童,障害など,分野ごとに提供されてきましたが,今後においては分野を横断した全世代・全対象型の包括的支援体制の構築や,地域共生社会の実現が求められております。国においては,地域共生社会の実現に向け,社会福祉法の改正が行われ,本年4月1日に施行されたところでありますが,改正社会福祉法では,地域の課題解決のための支援が,地域住民や福祉の関係機関の連携の下で,包括的に提供されることを目指すことと共に,これまで任意とされていた地域福祉計画の策定についても,市町村の努力義務として,その責務が明記されました。 本市ではこれまでから,京・地域福祉推進指針2014を地域福祉計画として位置付けて,地域福祉の推進に取り組んできましたが,今年度,推進指針の改定を行う予定となっております。私は,地域に住む人たちが,様々な支援を必要とする人を,我がことと捉えて,支え合って,共に暮らしていける社会を作っていくことが,人にも優しく災害にも強い社会を作っていくことになると確信しております。これまでの地域福祉指針の取組において,地域において複合的な課題を抱える方や,社会的孤立,制度のはざまで苦しんでおられる人に対して,福祉の専門職や専任の保健師が寄り添う支援を行う地域あんしん支援員設置事業や不良な生活環境を解消するための支援,いわゆるごみ屋敷対策などの充実が図られたところであります。今後ますます増加が予想される地域の福祉課題に対応するためには,これらの対策に加えて,早期に課題を把握し対応する予防的視点からの取組が望まれるところであります。そこで,本市における京・地域福祉推進指針の改定に当たって,地域力の強化や,総合的な相談支援体制の構築など,どう取り組まれるのか,お答えください。 次に,持続可能な都市構築プランの策定と併せた周辺地域における公共交通網形成についてお伺いいたします。本市ではこれまでから,都市計画マスタープランに基づく都市づくりが進められており,交通拠点の周辺に都市機能を集積させるとともに,地域コミュニティを基本とした生活圏の維持,構築を図ることで,それぞれの地域が公共交通などによりネットワークされた暮らしやすく持続可能な都市構造を目指してきました。しかしながら,本市においても,人口減少社会が到来する中で,将来にわたって暮らしやすく,魅力と活力ある都市の構築が課題となっており,現在,市民意見募集が行われている持続可能な都市構築プラン(仮称)の骨子案では,市内の各地域がネットワークする持続可能な都市構造を目指すこととし,市民,事業者,行政が協働して,持続可能なまちづくりを進める方針が示されております。一方,市民の方々が安心,快適に暮らせる持続可能なまちづくりを進めるに当たり,このプランだけでなく,公共交通網の計画がその両輪になるべきと考えております。例えば,私の地元の山科区などにおける地域の公共交通については,現在でも既に,1時間に1本のバスを待つ地域も多く,地域住民の移動の利便性を確保するうえで大きな課題が生じてきております。この間,地域の住民の方々による熱心な公共交通の利用促進の取組や民間事業者による経営努力などが行われてきましたが,今後一層,高齢化が進む中で,このままでは全ての人が快適,便利に利用できる公共交通の確保に向けて限界があると言わざるを得ないと考えております。そこで,持続可能な都市構築プランが進む中で,こういった課題なども踏まえて,とりわけ周辺地域における公共交通網の形成について,本市が主体性を持って検討していくべきと考えますが,御見解をお伺いいたします。 最後に,新十条通無料化に伴う山科区の安全対策,渋滞対策についてお伺いいたします。新十条通については,山科区から幹線道路整備に係る請願が,昭和52年,京都市会において全会一致で採択され,以降,様々な検討を経て平成9年7月に着工し,そして平成20年6月に有料道路として,山科区民の悲願とも言える道路として開通をいたしました。しかし,新十条稲荷山トンネルの交通量は約8,000台で,計画の交通量を大幅に下回っている状況が今も続いてきました。そこで本市として,2016年7月と12月に,国の石井国土交通大臣に対して,無料化の要望を強く訴えてまいりました。その結果,2016年12月には,国の近畿圏の新たな高速道路料金に関する具体方針案などにより,明年3月に,京都高速の新十条通は京都市に移管され,油小路線はNEXCO西日本に移管されることが決定をいたしました。これまでから京都の東の玄関口としての山科でありますが,三条通,国道1号の五条通は,現在でも慢性的な交通渋滞や通過交通の多さなどにより,住環境に対する課題を長年抱えてきましたが,今回,新十条通は移管に伴い無料化されることから,山科区から市内中心部へのアクセスが大きく向上し,車の流れは大きく変化すると予想されております。新十条稲荷山トンネルの交通量は,現在の約8,000台から無料化により約2万台に増加すると想定されておりますが,増加する交通量の大部分は,山科地域と市内中心部の間の利用者であると見込まれ,移動時間の短縮とともに,並行する国道1号などの交通量が減少することが見込まれるなど,京都市民にとっても大きなメリットがあると考えられます。一方で,新十条稲荷山トンネルの交通量が大きく増加することにより,本市が管理するトンネルでは最長であるとともに,交通量が最大となることから,特に利用者の安全対策については,万全を期さなければなりません。また,特に危惧されることは,山科区内の生活道路における渋滞対策や安全対策であります。交通管理者である京都府警と十分に連携を図りながら,地域とも協議を重ねて,交通規制や道路改良なども検討すべきと考えます。移管まで半年余りとなった現時点での移管に向けた取組状況についてお答えください。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(湯浅光彦) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,久保勝信議員の御質問にお答えいたします。 地域福祉についてでございます。年を重ねても生き生きと暮らし続けていくためには,まずは,日頃から規則正しい生活や運動を行うことなど自助が重要であります。同時に,様々な生活課題が生じたときには,行政施策である公助の活用に加えまして,地域住民が互いに支え合う共助の取組を進め,地域共生社会を構築していくことが重要でございます。これまで本市では,民生委員や学区社会福祉協議会,社会福祉施設の代表者等と行政で構成する地域福祉推進委員会を全ての行政区に設置し,福祉のネットワークづくりを進めてまいりました。今後は,この地域福祉推進委員会を中核として,社会福祉法人による地域における公益的な取組の活用などをはじめ,地域住民,関係機関,団体等が地域の人々の生活課題を共有し,連携を更に深めてまいります。これにより地域の取組を強化し,課題を抱えた方々にいち早く気付き,必要な関係機関につないでいく力を高めてまいります。また,例えば,高齢の親とひきこもりの子供が同居する世帯,いわゆる8050問題など,課題が複合し個別の施策では解決困難な課題についても,行政や支援機関がしっかりと受け止め,適切な支援に結び付けるため,保健と福祉の垣根を取り払い再編した保健福祉センターにおいて,各分野をつなぎ統括する統括保健師を軸にしまして,総合的な支援体制の強化を進めてまいります。このような取組を基本に,現在の地域福祉推進指針を今年度中に見直し,改正社会福祉法が求める計画として策定し,本市における地域共生社会の実現に向けた取組を力強く推進してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(湯浅光彦) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 私からは2点お答えいたします。まず,周辺地域における公共交通網の形成についてでございます。本市ではこれまでから,歩く魅力にあふれるまちづくりや,歩く暮らしを大切にするライフスタイルの推進と併せまして,公共交通の維持,向上に地域住民の皆様,交通事業者,そして関係行政機関が連携して取り組んでいるところでございます。こうした中から,山科区や北区,右京区,伏見区などにおきまして,地域住民によるバスの積極的利用を促すモビリティ・マネジメントによる路線によりまして,路線を拡充した事例でございますとか,地域の自治組織自らが主体的にバスを運行している事例など,全国のモデルともなるような取組が行われているところでございます。こうした取組を更に効果的に展開していくために,昨年度,地域の皆様,交通事業者,行政が一体となって取り組むバス路線充実の社会実験等への支援制度を創設したところでございます。今後とも,地域ごとの実情に応じた市内周辺部における公共交通網の充実に努めてまいろうと思っております。 なお,このような地域,民間,行政が一体となった取組を維持していくためにも,翻って地域そのものの魅力が持続可能であることが不可欠でございます。現在策定中の持続可能な都市構築プランにおきましても,多様な地域の魅力を高め,さらにこれらをネットワークしていくという都市構造を基本にいたしまして,地域ごとに拠点となるエリアを位置付けていこうと,このように考えているところでございます。 次に,稲荷山トンネルの交通対策についてでございます。本市から国に強く申し入れました京都高速道路新十条通の移管も,いよいよ来春の4月1日に実現する運びとなっております。これで無料での通行が可能になるということでございます。これによりまして,御指摘にございましたが,稲荷山トンネルの1日の通行台数は,約8,000台から約2万台にまで増えると予測をされております。国道1号等の慢性的な渋滞も一定程度解消するとともに,市中心部と東部地域を結ぶ交通環境は大幅に改善をされて,地域経済の活性化や市民生活の利便性向上にも大きく寄与するものと考えております。一方,御指摘のとおり,新十条通では,交通量の増大によりまして,周辺での渋滞,生活道路への流入も想定されます。この間,交通管理者である京都府警察と対策について協議を重ねております。具体的には,新十条通に加えまして,東部地域の南北軸でございます外環状道路の交差点において,交通量の変化に合わせた車線の追加や右折レーンの延長,通行車両を円滑に誘導するための標識設置,新十条通から生活道路への流入を抑制するための交差点形状の改良などを検討しております。早期に協議を整えまして,地域の皆様に御理解をいただけるよう丁寧に説明してまいりたいと考えております。今後とも,利用者,地域の皆様の安全性の確保を最優先に考えた移管に向けての万全の取組を進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(湯浅光彦) 暫時休憩いたします。 〔午前11時44分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,安井つとむ議員に発言を許します。安井議員。 〔安井つとむ議員登壇(拍手)〕 ◆(安井つとむ議員) 伏見区選出の安井つとむです。国民・みらい京都市会議員団を代表し,同僚の中野議員と共に市政一般についての質問をいたします。質問内容につきましては,私たちが日頃の活動を通じて市民の皆さんからお寄せいただいたことを中心にまとめたものも多くあり,市長並びに関係理事者におかれましては,テレビ中継を御覧いただいている皆さんにも的確に伝わる答弁をよろしくお願い申し上げます。 平成29年度決算を振り返ってみますと,門川市長が市政の舵取りをされ10年目を迎えた年であり,「京プラン」実施計画第2ステージとして307の事業を掲げ,恒常的な厳しい財政状況に変化のない中で,結果的には堅調に推移した個人市民税,固定資産税と共に法人市民税も増加し,市税収入全体で40億6,600万円の増収となりました。また,従来,京都府の負担であった小中学校をはじめとする教職員給与の本市への移管に伴う財政措置605億円の影響とともに,府税交付金をはじめ,地方交付税,臨時財政対策費,国庫支出金が前年度を98億3,800万円上回るものになりました。一方で,全庁挙げての財源確保に向け,職員一丸となって,市税をはじめとする徴収率の向上に向け取組が推進されました。市税は98.8パーセント,国民健康保険は94.1パーセント,介護保険料は98.7パーセント,市営住宅費99.2パーセントと,過去最高を達成するに至りました。ほかにも施設統合や学校跡地の有効利用にも努め,さらに業務の効率化と共に,予算執行の効率的運用の徹底等もその一端を担うことになりました。これは,市長のリーダーシップはもとより,職員各位一丸となった力の成果となりましたが,公債償還基金を69億円取り崩すなど,本市財政の厳しさは変化のない状況にあります。困難な市政の舵取りにあることは間違いありません。今後に向けた意気込みをお聞かせください。 6月の地震に続く,7月の集中豪雨,9月の台風21号等,全国的にも甚大な自然災害による被害を受け,そして犠牲になられました皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに,一日も早い復旧に向け,私たち議員団も関係行政機関を中心とした支援の機会が拡大するよう,市長に対し緊急対策の強化を申し入れたところであり,その緊急要望について触れておきたいと思います。 平成30年9月4日を中心に日本列島を襲った台風21号により多くの被害が出て,本市でも暴風,大雨による倒木,家屋の倒壊などが報告をされており,そこで,次の点について至急に取組を進めるよう強く要望いたしました。一つには,深刻な被害が京都市全体の地域で発生,至急に状況の把握と市民生活の復旧に向けた徹底した取組。二つ目には,飛来した所有者不明のごみ処理についても,まち美化事務所が相談に応じるともに,街路樹等の落ち枝処分にはボランティア袋の活用の実施,相談窓口をホームページ等で明示化するなど,引き続き積極的な対応。三つには,左京区をはじめ多くの地域で木や電柱の倒壊による甚大な被害が発生。関西電力との連携。一刻も早い撤去と停電の復旧。また,倒木による家屋損壊と山林被害の実態調査と支援策の実施。四つ目には,農業パイプハウス等の損壊被害が多く出ております。早急に現状把握と共に被害を受けた生産者と京都府とも連携をして積極的な支援策を実施すること。五つ目には,教育施設,そして福祉施設に対しての調査,被災箇所の修復の早期実施。六つ目には,強風による損壊,大雨による浸水など多くの文化財被害報告を受けております。所有者の協力の下調査を行い,京都府とも連携し,文化庁への働き掛けを行うなど,復旧への財政的支援策の実施。七つ目には,今年に入り,地震,豪雨と自然災害が続く中,今回は暴風被害が発生。自主防災会など現場での取組事例や今後の課題などを区役所・支所が積極的に聴き取り,今後の対策にいかすこと。また,今回の補正予算におきましても,大阪北部地震による公共建築物,公共用地のブロック塀撤去,フェンスの再設置等の改善についても合計313箇所,予算で20億3,900万円を充当。また,教育関連施設でも93施設,10憶3,800万円を充当し,安心安全の確保に努めるため早期着手に向けた取組が進行中で,市民の皆さんからも評価を得ているところであります。京都は昔から,「自然災害の少ない所でよろしい」なと言われてきました。しかし,昨今の自然災害状況を顧みますと,何がいつどう起こるか分からないことにより,今までの概念を捨て,これまでの対応の枠を超えたものが必要とされていると言えます。とりわけ,平成29年度決算の中でも,防災,安全等において,必要な部署には必要な人員を配置し対応を図ってきたとされていますが,予算面においても,格段の配慮により,具体的な方策が求められると考えます。全国的に広がる数々の被害に対し,国においても専門機関として防災省の設置等の意見も出始め,国民全体においても同様に,災害への事前,事後の対応について関心がより高まっているところであります。本市においても,今回の地震,集中豪雨,台風での直接被害を体験し,より一層市民の災害に対する対応への市民の視線も厳しいものとなっていくと考えます。また,この夏の猛暑もしかりであります。自然災害が市民の日常生活に大きな影響を与えた。市民の命と財産を守るべく,これまでの防災機能の再点検と浮き出た課題についての見直し検討を早急に行い,より安全安心の京都市を作り上げなければなりません。この点について答弁を求めます。 引き続き,昨年9月の代表質問を行いました非常用発電機の平常時での点検システムについて,1年を経過し,その実態についても再度質問をしていきたいと思います。言うまでもなく,この点検を実施することにより,地震,停電時に照明はもとより,給水ポンプ,スプリンクラー,配水ポンプ,エレベーター等を作動させるための非常用発電機が必要であることは言うまでもありません。非常時に非常用発電機が作動するかしないかでは大きな差があります。平常時での点検が重要なものとなり,より一層その実施が安全安心の基本になると考えます。御承知のとおり,面積は1,000平米以上の病院,公共施設をはじめとする特定防火対象物に対し,年に一度の適切な点検が義務付けられております。消防法による消防庁からの通知,消防用設備等に係る点検及び報告の推進等についてが出されています。しかし,本市におけます点検の実態は,まず実施率が低いこと,負荷運転はせずとの報告内容もあり,その実態把握も完全なものではないように見受けられます。過日の大阪北部地震のときも,吹田市にあります国立循環器病研究センターで非常用電源点検不備が露呈いたしました。地震発生後,何らかの異常により電源が作動せず一時的に停電が発生いたしました。同センターで確認したところ,電気事業法で定める保安点検を少なくとも5年以上実施していないことが判明をいたしました。厚生労働省は全ての病院に対し,被災を想定する中で,業務継続に必要な設備等の確保及び点検は必要不可欠とし,非常用電源を有する全ての病院に対し,関係法令(電気事業法,消防法,建築基準法)の規定に基づく非常用電源の保安検査の実施状況の確認と実施しなかった場合,直ちに実施をして,問題なく稼働するかどうか確認するよう指導をするとともに調査を行うとされています。 なお,点検実施に向けて,安全に点検するためのガイドラインも必要と考えます。例えば,一つには,負荷試験運転の年間における一定の実績と全国規模での実績。二つ目には,補償制度の確立として,非常用発電機・模擬負荷試験専用保険への加入と責任賠償の設定であります。三つ目には,模擬負荷試験機の安全性能の確認として日本消防設備センターなどの認定を取っていること。四つ目には,点検に係る作業員の資格として電気工事関連の国家資格取得など,また参考基準適性価格の設定などが考えられます。是非,本市におきましても点検業務を進めるためにガイドラインの策定についてお考えを求めておきたいと思います。 この夏の度重なる自然災害による警報に伴う避難所の開設とその運営についても課題が見えたように思います。特に風水害では京都市指定避難所425箇所の役割が大きいものがあります。避難所運営についてもマニュアルが作成され自主防災会を通じて開設時に地域では役立てることといたしております。備蓄については平成25年,京都市備蓄計画が策定され,災害救助物資(アルファ化米,飲料水,粉ミルク,毛布,仮設トイレなど)が加えられ,現状では市内28箇所の拠点備蓄倉庫及び市立学校余裕教室を利用した学校備蓄倉庫96箇所に備蓄。ほかにも,緊急避難広場32箇所,福祉避難所42箇所の協力を得て備蓄が進められております。その備蓄品は京都市指定避難所でも利用されておりますし,また,避難所になる体育館には簡易トイレ,LEDランタン,ガスボンベでの簡易発電機が常備され,食材,飲料は備蓄スペースの関係で近隣の避難所に備蓄されているケースもあります。ほかに開設に伴う必要なキットが備えられています。 一方で,拠点となる防災機能強化型体育館の整備状況です。一定の条件を有する体育館の長寿命化と避難所機能の強化などを進める全面改修と改築,建替えがあります。建替えは平成26年以降,小学校で3校,中学校で4校,今予定の1校を含むであります。全面改修リニューアルは小学校で17校が着手を済みました。その防災機能強化内容は,外断熱,遮熱高断熱複層ガラス,LED照明,太陽光発電機,停電対応蓄電池,そして防災備蓄用床下収納,更衣室のシャワーユニット,雨水利用,ペレットストーブなどが設置されております。耐震補強も完了し心強いものでありますが,整備には多額の費用が掛かり,今後も改築は年1校程度,全面改修は年三,四校程度とその進捗は早くありません。今後は全庁横断的に防災面での予算の確保が急務です。運営体制と共に,避難所防災機能強化に向けた意気込みと今後どのような対応を図っていくのか,答弁を求めたいと思います。 次に,市街地周辺地域におけますバス路線の充実についてお聞きいたします。京都市には,市街地中心部,市街地周辺地域,山間地域など個性あふれる様々な地域があり,公共交通を取り巻く状況も様々です。中心地域では,利用者の増に伴いバスダイヤが充実する一方,周辺地域においては,高齢化の進行に伴って,生活路線としてのバス路線の新増設を求める声が上がっております。しかしながら,バス運転士不足などバス事業者を取り巻く環境は,近年全国的に深刻化しているものがあり,慎重に対応せざるを得ないのが現状であります。こういった状況を踏まえ,単に,新たにバスを走らせてほしい,もっと増便してほしいと求めることだけでなく,問題を前に進めることは非常に難しい状況の中で,地域には,学んでいる人,働いている人,老後を穏やかに過ごしている人など様々な人が住み,望むまちの姿も様々であります。そういった方々が集まり,今後の進め方,また自らは何ができるのか,他の団体との連携の可否。その結果として乗降客数の安定的な確保に基づく路線維持が可能なのかといったことについて,地域全体で大局的に考え,その総意としてまちの将来ビジョンを共有する中で,公共交通の在り方についてもその一環として位置付ける必要があると考えます。 京都市では,昨年度,市内周辺部における公共交通網の維持,確保,充実を図るため,地域,バス事業者,行政が目標を共有して行うバス路線の新設,充実に係る社会実験に対して補助制度を設けるなど,民間事業者への支援に踏み出しました。まちづくりの一環として公共交通の充実を図るうえでは,何よりまず地域の主体的な取組が重要であり,これを前提として,引き続き地域の取組に応え,これを支援することでバス路線の充実を図っていくべきではないでしょうか。答弁を求めます。 本市は147万市民が暮らす大都市であるとともに,世界的な大企業が立地するものづくり都市,多くの学生が学ぶ学生の街,更には世界中から多くの観光客が訪れる観光都市でもあり,我が国においても類のないまちと認識をいたします。その結果,人の動きは複雑化し,鉄道駅などの交通結節点,世界遺産をはじめとする寺社などの主要観光地の周辺など,大規模な混雑が発生するエリアにおいては,バス停での長蛇の列,また,バスが来たけど,観光客でいっぱいで乗れないといった声が上がるなど,市民生活にも影響が生じている状況であります。本市会においても,自動運転技術による新たな交通システムの検討について補正予算案が上程されているところですが,こういった新たな技術革新も踏まえ,幅広い手法を視野に入れ,エリアごとの事情に即した公共交通機関の充実を図り,混雑の緩和,交通利便性の向上を図るべきものと考えます。一方,現時点で実用化している交通システムの中では,こういった混雑問題が起こっているエリアにおいて,連節バスを導入することが有意義と考えます。通常の大型バスと比較しても,多くの乗客を一度に運ぶことができる連節バスは,全国的にも導入が進められ,鉄道駅と大学キャンパス,また港湾などを結ぶ路線等,特定路線において力を発揮しております。車両はもとより高額な設備投資が必要となるとともに,本市のような歴史都市においては,道路環境への配慮などの課題があることは認識をしておりますが,連節バスは単なる混雑緩和にとどまらず,今後のまちづくりにおいても大きな役割を果たし得るものと考えております。その導入についても前向きに検討いただきたいと考えておりますが,いかがでしょうか。答弁を求めます。 持続可能な都市構築プラン(仮称)についてお聞きをいたします。京都市では約50年にわたり,140万の人口を維持してきましたが,将来,中長期的に本市人口が減少することが予測されており,現在,将来にわたって,暮らしやすく魅力ある都市構造を目指して,持続可能な都市構築プランの策定が進行中であります。本市のまちづくりは,これまでから都市計画マスタープランに基づいて,交通拠点の周辺に都市機能の集積を図り,各地域がネットワーク化された都市構造を目指してまいりました。現在,市民意見の募集が行われておりますが,プランの骨子においても,市内全体を大きく五つのエリアに分類をし,各エリアの将来像を掲げ,例えば,都心部の拠点エリアでは,広域的な商業施設やオフィスの集積,京都の都市活力をけん引するといった方向性が示されています。また,本プランを推進する方策の一つとして,国において創設されました立地適正化計画のツールも使いながら,住宅開発を一定の区域の外で行う場合には届出を求めることを検討する方針なども示されております。一方,特色ある11の行政区から構成され,人々の暮らしや文化が息づく多様な地域が市域全体に広がる本市では,まず,市域全体を見渡し,各地域の条件を十分にいかし,魅力と活力を高めることが重要と考えます。こういった視点を踏まえ,京都ならではの持続可能な都市構築プランの策定をすべきと考えますが,答弁を求めます。 結びに,これまでの代表質問の機会に地域的な要望をしてまいりました。一つは,JR西日本奈良線の複線化に伴う第一御陵踏切廃止が地元でも問題になりましたが,当該施設の存続が決定をされたこと。また,本市交通局,稲荷大社前の北行の停留所の改善についても,狭あいな状況で危険な状態の改善について土地所有者から有償で借り受け,またバス待ち環境が大幅に改善され,安心安全が確保されたこと。また地元の水垂運動公園整備実現に向けて,そのスタートを切ることができたこと。いずれも関係者の熱意の結果であり,この場をお借りし,感謝の意を表し,質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 安井つとむ議員の御質問にお答えいたします。 財政運営についてでございます。私が市長に就任した10年前,市バス・地下鉄事業の危機的な経営状況,国保会計の累積赤字等により全会計の連結実質赤字が373億円に上り,本市財政は極めて憂慮すべき状況でありました。この10年間,市民の皆様の御理解と御協力を得て,徹底した財政構造改革に取り組み,特に市バス,地下鉄については,全庁挙げた利便性の向上と増客の取組などにより経営健全化に努めた結果,計画を前倒しして経営健全化団体から脱却できました。同時に,京都の未来を切り開く成長戦略もぶれずに推進し,29年度決算では市税収入が増加するなど,その効果は着実に現れております。しかし,市税が増えても地方交付税が減るという状況の中,一般財源収入はピーク時から300億円以上減少した状態が続き,社会福祉関係経費に要する財源はこの間400億円以上増えるなどの状況であり,公債償還基金の取崩し等の特別の財源対策に依存せざるを得ない厳しい財政状況が続いております。引き続き,国に対しまして,地方交付税の必要額の確保と臨時財政対策債の廃止を強く求めるとともに,本市としても,民間活力の導入,より効率的な施策展開と行財政改革により財源を確保し,全国トップ水準の福祉,教育,子育て支援等を維持,充実してまいります。同時に,積極的な産業政策等により,市民や中小企業,地域企業の皆様の所得を増やすことで将来の担税力の向上につなげてまいります。今後とも,京都の未来のために必要な施策をしっかりと吟味し推進しつつ,それを支える持続可能な財政の確立に全力を傾注してまいります。 次に,防災対策についてでございます。今年度は,京都市域で最大震度5強を観測した大阪府北部地震,同じ地域に継続的に大雨が降り続いたことにより,多くの市民の皆様に対し避難勧告等を発令した7月豪雨,記録的な暴風により家屋,農林業や公共施設,文化財施設等に甚大な被害をもたらすとともに,広範囲かつ長期にわたる停電により市民生活に大きな影響を与えた台風21号など,これまでに経験したことのない災害が立て続けに発生しております。大阪府北部地震及び7月豪雨に関しましては,既に本市の災害対応を総括し,課題と改善策を明らかにしたところであります。一方,台風21号では,現在も,被災者支援と復旧に全力を尽くしているところであり,その災害対応につきましても早急に総括し,市会での議論や頂きました緊急要望の趣旨も踏まえまして,今後の対策にしっかりといかしてまいります。とりわけ,一時,数万軒に及んだ大規模な停電対応につきましては,地域の皆様と土木事務所等が一丸となり,道路上の倒木の除去等を行うことなどにより,関西電力による復旧作業の迅速化へ全面的に協力を行いました。一方,関西電力に対しては,停電が長期にわたったことに関する対応の総括と,災害復旧の迅速化に向けた具体策の構築を強く申し入れたところであります。今般の一連の災害で明らかになったブロック塀対策,災害情報の伝達,指定緊急避難場所の開設,運営の在り方など,新たな課題につきましても,これまでの常識にとらわれることなく,市民地域の皆様とともに安心安全のまち京都の実現に実効性を高めるべく,全庁挙げて取り組んでまいります。 次に,避難所防災機能の強化についてでございます。本市では,東日本大震災における教訓を踏まえ,専門家や市民の皆様との徹底した議論の下で生まれた137項目のハード・ソフト両面による防災対策を着実に推進するとともに,新たな諸課題への対応等についても検討すべく,京都市防災会議の下設置した京都市第2次防災対策総点検委員会からの提言を受けまして,全庁挙げた取組をただ今行っております。その中の具体的な取組の一つとして,平成24年度には教育委員会において,小中学校体育館の防災機能強化に向けた整備事業の基本構想を策定し,更衣室内のシャワーユニットの設置,外壁への断熱材の使用,太陽光発電機,防災備蓄用収納などを備えた防災機能強化型の体育館の整備を進めまして,平成26年度からは議会の要望も受けまして予算を増額し,現在,改築と全面改修を合わせて,年間5校程度を計画的に進めております。また,地域の防災拠点として極めて重要な役割を果たす避難所の防災機能強化を着実に進めるために,避難所運営に係る資機材の整備や,避難所への分散備蓄についても併せて取り組んでおります。さらに,避難所の運営体制につきましても,今般の災害対応の課題等を踏まえまして,自主防災会役員等の一部の皆様に過度の負担が掛からないよう,地域社会全体で主体的に関わっていただけるような体制を構築するなど,更なる避難所の防災機能の強化を図ってまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 私からは2点お答えいたします。まず,市街地周辺地域におけるバス路線の充実でございます。本市の公共交通の状況は,地域によって様々でございます。各地域の特性に応じた取組が必要でありますけれども,まずは地域の皆様が,交通問題を地域のまちづくりの一環として捉えていただき,地域全体で認識を共有していただくことが重要であると考えております。引き続き,地域のまちづくりの拠点であります区役所・支所を窓口といたしまして,関係行政機関あるいはバス交通事業者と連携いたしまして,地域住民によるバスの積極的利用を促すモビリティ・マネジメントの実施など地域の取組を後押ししてまいる所存でございます。また,昨年度に創設いたしました民間バス事業者への路線充実支援制度でございますが,更なる充実が図られるよう,引き続き民間バス事業者に積極的に働き掛けてまいります。 次に,連節バスの導入でございます。御指摘のとおり,連節バスにつきましては,通常の大型バスと比較して多くの乗客を一度に運ぶことができるのでございますが,一方で,狭い箇所の多い本市の道路事情の下では,18メートルに及ぶ長さが周囲の円滑な交通に影響を与えること,また,高額な車両価格,専用の整備施設の必要性などの課題がございます。混雑対策については,これまで市バスの系統数を74から84に増やしまして,バス車両を54両増車するなど,輸送力の強化も行ってきております。今後,目的地や移動手段の分散,また交通結節点の機能強化などに取り組む中で,連節バスの導入についても引き続き慎重に検討してまいりたいと,このように考えているところでございます。 次に,持続可能な都市の構築についてでございます。本市は,悠久の歴史に培われた文化と暮らし,産業が市域の隅々までに存在しており,特色ある多様な地域が有機的に結び付いております。人口減少社会にありましても,こうした都市の特徴的な有り様を未来に受け継いでいく使命があるものと考えております。そのため,保全,再生,創造のまちづくりを基本に,御指摘のとおり,市域全体を見渡して,持続可能な都市構造に向けた土地利用を誘導していくということが重要であろうと考えております。そこで,このプランでは,市内を五つのエリアに分類いたしまして,広域的な拠点の周辺に京都の都市活力をけん引する機能を集中させるというだけではなく,例えばでございますが,各地域の中核拠点エリアでは,市民がライフステージに応じて,多様な施設に歩いてアクセスできる環境の充実,あるいはものづくり産業の集積エリアでは,工場や研究施設等の操業環境の確保と居住環境との調和など,それぞれの課題,特性を踏まえまして,将来像を明らかにしたうえで,各地域のポテンシャルを存分に引き出してまいりたいと,このように考えております。あわせまして,歴史や文化,観光,伝統産業や先端産業,大学の街といった本市の強みでございますが,これを一層,地域のまちづくりに結び付けるなど,京都の魅力と活力の向上を目指して,新たなプランの検討を徹底した市民,事業者の参画の下に深めてまいりたいと思っております。ここで暮らし,学び,働き,訪れたいと実感できる持続可能な京都のまちづくり,これは喫緊の課題でございますので,スピード感を持って取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 荒木消防局長。 〔荒木消防局長登壇〕 ◎消防局長(荒木俊晴) 非常用発電機についてでございます。全国的に負荷運転の実施は低調であったことから,総務省消防庁において,平成27年から検討された結果,本年6月1日には具体的な点検方法を含む告示及び要領が改正されました。本市ではかねてから,消防用設備等点検結果報告書の届出時や査察等の機会を捉えて指導を行ってきた結果,昨年まで未実施の493施設のうち72施設が改善されましたが,依然,400を超える施設が未実施の状況です。今般の改正により新たな点検方法も示されたことから,命令等の措置も視野に入れながら,査察等の機会を通じて全ての施設で速やかに負荷運転が実施されるよう取り組んでまいります。なお,本市の施設については,全ての施設で今年度内に負荷運転を実施することといたしております。安井議員御提案の点検業務を進めるためのガイドラインは,一部の業界団体において策定されていることを把握しており,必要に応じ情報の提供に配慮してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,中野洋一議員に発言を許します。中野議員。 〔中野洋一議員登壇(拍手)〕 ◆(中野洋一議員) 私は,東山区選出の中野洋一でございます。国民・みらい京都市会議員団を代表して,先輩の安井つとむ議員と共に市長及び幹部の皆さんに4項目に分けてお尋ねいたします。どうぞよろしくお願いします。 それでは,まず一つ目は,簡易宿所への許可を出す京都市は,その責任をどう果たすのかというところでございます。「毎日が本当に地獄でした」。不誠実な経営者によって,常駐者がいない宿泊施設を真隣で営業され,寝られない日々を送らなければならなくなった住民の心からの叫びです。この4年間,京都市を訪れる観光客は5,500万人と急増しました。多くの観光ビジネスが展開され経済的にも京都市が潤う機会も増えました。一方,それによって市民の生活が大きく脅かされる機会も増大しました。市民が乗れない,降りられない市バス,市民が歩くことができない歩道,そして民泊や簡易宿所など宿泊施設の展開などはその最たるものでございます。 (パネルを示す)ここで,簡易宿所と民泊軒数の推移というのを見ていきましょう。民泊については,今年の6月から始まりましたので,8月末までで129軒,それに対して簡易宿所は平成26年度には460軒だったのがぐっと上がって今は2,200軒増の,今年の8月末までで2,627軒と非常に増えているというのが実際のところでございます。当然でございますが,誠実な経営者が周辺に心配りをし,迷惑が掛かっていないか細心の注意を払いながら運営している民泊や簡易宿所も数多くあります。一方,不誠実な経営者の運営により,周辺で暮らす方の生活環境が壊されているケースも数多くあります。当初,残念ながら京都市には市民生活が脅かされていることへの危機意識はそれほど高くはありませんでした。しかし,市会で議論を積み上げ,市長に働き掛けたことで大きく京都市の方向を変えることができました。苦しんでいる方にはようやくではございますけれども,今年の2月に京都市独自の民泊条例を,5月に改正旅館業法に対する条例を厳しい条件も付けて議会で可決成立させました。しかし条例が出来て,今まで苦しんでいらっしゃる方がその苦しみから解放されるのかと言ったら,そうではありません。これからが正念場です。暮らしに安心を約束する京都市の覚悟が求められています。 ここで改めて押さえておきたいのは,この苦しんでいらっしゃる皆さんは,決して勝手なことやぜいたくを求めているわけではございません。今までの平穏な生活をこれからも送りたいと訴えられているだけでございます。当初からこの課題は役所の多くの部局に権限が分かれており,国が大幅に規制緩和する方針もあり,解決すべき策が見いだせなかったのが現状です。私にアドバイスを下さる幹部の方も,どうしようもない,仕方がないと吐露されたこともありました。しかし,仮に私が仕方がないで済ませても,宿泊施設の営業により苦しんでいる方の毎日の生活は静かな元の状態に戻ることはありません。出世の本懐という言葉がありますが,この課題解決は正に市会議員の役割を託されている私の本懐。市民生活を守ることすらできないのであれば,市会議員を務める資格はないと,こう思い,様々な形で解決に向け取り組んでまいりました。 こういった中,京都市独自のルールを作り,運営の際に市民の暮らしを脅かさない,その防波堤として作ったのが先ほど紹介した二つの条例でございます。その条例の下,京都市の民泊担当の皆さんには解決のために奔走いただき,助けてもらっていますが,まだまだ相談も多数頂いています。しかし,それは違法民泊の無許可営業への訴えではありません。合法の施設,京都市が許可を出した施設の運営に対しての悲鳴でございます。苦しんでいる多くの皆さんに代わって質問いたします。営業するための諸条件が整ったら許可を出さざるを得ないという京都市の立場は,住民である私たちは理解しているつもりである。しかし,その許可した施設が不誠実な経営をして周辺住民を苦しめることが続く場合,許可を出した京都市はその許可した責任をどう取るつもりなのか。許可を出したら出しっ放しなのか。不安を持たれ苦しんでいる方々は,最後のとりでである京都市の決断の在り方に望みを託されています。この二つの条例には,強い権限が今回盛り込まれました。これらを明確にし,合法の施設に対しても,市民の生活を脅かす場合は徹底して指導し,改善されない場合は確実に排除していく。京都市が最優先で行うべき市民の普段の暮らしを守り,安心安全を提供するという取組をどう効果的に進めていくのか,これからの方策と決意を聞かせていただきたい。 ここまでで,まず最初の質問を終わります。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 中野洋一議員の御質問にお答えいたします。 旅館業法における簡易宿所や住宅宿泊事業法に基づく届出のあった宿泊施設である民泊の適正な運営についてでございます。本市では,違法民泊が全国的に急増し始めた3年前から,断固これを許さないという強い決意の下,市民の皆さんと観光客の皆様の安全安心及び市民生活との調和を確保するために,全国に先駆けて徹底した取組を強力に推進してまいりました。本年6月の住宅宿泊事業法等の施行に当たりましても,市民の皆様から多様な御意見を頂き,市会における徹底した議論によって御議決いただいた全国で最も厳しいと言われる本市独自の条例に基づき,今年度は民泊対策等の専従職員だけでも41名の実施体制を整え,その着実な運用を図っております。宿泊施設の開業に当たりましては,事業者に迷惑行為等の抑止策について,あらかじめ近隣住民に説明することを義務付けるなどその遵守を強く求めており,また地域住民の不安や具体的な困りごとにつきましては,医療衛生センターの職員が相談に応じるほか,本市独自の「民泊」地域支援アドバイザーを創設し,専門的な知識やまちづくりの経験をいかした助言等を行い,協定書の締結など,地域住民の主体的な取組が進むよう,宿泊施設の営業者と地域住民の調整,調和を図っているところであります。不適正な運営に係る通報等があった施設につきましては,直ちに確認のうえ,この度の法令で与えられた業務改善命令等の行使を前提とした厳しい指導を実施しており,大部分は是正されておりますが,これに従わず悪質なルール違反を繰り返す者に対しましては,法令又は本市条例に基づき命令を行うなど,厳正に対処しており,今後も徹底してまいります。さらに,京都府警察とは,京都市民泊対策等連絡協議会を設置し,宿泊施設に関する情報共有をする中で,警察に法令に基づく的確,厳正な対処を要請しており,実際に検挙する事例も出てきております。互いの連携の下に,宿泊施設の違法な状態の根絶を徹底して取り組んでまいります。 今後とも,宿泊施設営業者に対して,周辺住民の方々への生活環境の十分な配慮を強く求めるとともに,民泊通報・相談窓口に寄せられる市民の皆様のお声や,民間委託による調査の結果などのデータもしっかりと活用いたしまして,各宿泊施設の運営状況を把握し,監督権限を最大限に行使し,違法な宿泊施設を根絶し,全ての宿泊施設が適正に運営されるよう,地域住民の皆様と共にしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(寺田一博) 中野議員。 〔中野洋一議員登壇〕 ◆(中野洋一議員) 違法民泊は当然でございますけれども,市民生活を脅かす合法民泊に対しても積極的に様々指導をしていただきたいと思います。暮らしに安心という部分を具現化するために是非頑張ってくれとは申しません。一緒に市長と頑張って,市民の安心安全を確保していきたいと,こういう風に思っているところでございます。 さて,私たちが目指す文化首都・京都とは,喜んで住んでいきたいまちであるということが基本です。その中で,核となる都市公園の充実について伺います。市会議員として,他都市の優れた取組を調べ,市民生活の向上を広い視野で考え,市政に反映させることも役割だと考えます。その調査の中でうらやましいと思ったことに都市公園のすばらしさが挙げられます。 (パネルを示す)世界の都市の一人当たりの公園面積というものを簡単にまとめました。単位は一人当たり何平米かというところでございます。京都市の場合は,御苑を入れても4.8平米,日本平均でも8.9平米です。それに対して,ソウル,パリは11平米,そしてウイーン,ロンドン,ベルギーは20平米以上,そしてワシントンDCは52平米,スウェーデンのストックホルム市は80平米。京都市の御苑を入れても格段に違うというのが今の現状でございます。 ここで,他国で調査した公園事情を紹介します。是非,目をつむって想像してみてください。緑豊かな公園があります。子供たちが走り回り,お父さんがベンチで乳母車の赤ちゃんとお話をする,ジョギングや体操をする人,芝生で読書する人,お年寄りがベンチで談笑したり,先生を囲んで生徒たちが校外学習をする。ここは普通の公園です。芝生が広がり,ベンチがあり,背の高い木が植えられ木陰があるだけにもかかわらず,こんなにたくさんの風景でいっぱいでした。京都市の都市公園も更に素敵な公園へ充実させることで,たくさんの魅力を生み出すことができるはずです。 (パネルを示す)ここで,公園が充実すると,どういった形で私たちの生活が変わるのか,簡単にまとめてみました。公園がもっと充実すると更に進む政策。子供と一緒に出掛ける場所が増える,子育て支援の充実。様々な生徒・学生が自然の場で学べる,教育環境の充実。おしゃべりしたり体操をしたり散歩したりすることで元気に年を重ねられる,介護予防や健康寿命の延伸。誰でもスポーツできる環境が増える,スポーツの振興。木陰で読書をするなど本を読む環境が増える,生涯学習の充実。動物と散歩する機会が増える,動物愛護の推進。多くの木々の緑で二酸化炭素の排出が抑制される。広い公園により集中豪雨の際に水を吸い込む,雨に強いまちづくりと,これだけたくさんの長所がございます。是非,市内の都市公園に木陰やベンチを更に増やし,多くの方に利用してもらう目的で積極的に魅力的な改善を行う。また,使っていない公共用地などを都市公園として整備するなど,市内のくつろぎの環境をもっと充実させていくべきと提案しますが,いかがでしょうか。 あわせて,八坂神社の隣に広がる円山公園についてお伺いします。先日,歴史的名勝を取り戻す再整備事業の公開に立ち会いました。設計され132年がたち,草木が伸び放題で,面影が大きく損なわれている中,当時の工法も再現し往年の姿に戻す作業が行われていて非常に感激しました。同時に,公園全体を眺めると市民の憩いの場所が絶好の地に存在している認識も新たにしました。ただ,この公園,ともすれば花見の宴会場のイメージが強いのではないでしょうか。市民にとって,地理的には近いですが,憩う場所としては遠い,近くて遠い公園かもしれません。花見も宴会も結構ですし枝垂れ桜の整備も必要です。しかし同時に公園内の他の樹木や池などもしっかり手入れをし,市民が気持ちよくくつろげる公園としての再整備も忘れてはなりません。 あわせて,京都御苑の母と子の森の中にある,森の文庫のような取組も始めていただきたいと思います。これは先日,現場に娘たちと行ってまいりました。 (パネルを示す)丁度迎賓館の北側のエリアにある母と子の森,森の文庫という所ですが,この庵の中にたくさんの子供用の本が詰まっておりまして,貸出しはしていないんですが,ここで読んでくださいねと,こういうスペースでございます。子供の本が不要になった方から寄付や京都市の図書館と連携することで,これはできます。是非,設けていただきたいと思っております。円山公園をもっと市民が身近に感じ,憩いの場として集うことができる公園に,どう生まれ変わらせるのか,これから何に重きを置いて整備していくのか,お答えください。 三つ目,旅の本質を追求する入口である観光案内板とその目的達成についてお伺いいたします。観光客の急増で苦労されていても,訪れる方には親切にしていく,そういうまちであるべきだと優しい気持ちを表す方は私の周りでも少なくありません。平成23年度から10年間の都市経営の基本となる京都市基本計画「はばたけ未来へ!京プラン」では,旅の本質をこう説明しています。「ひとに出会い,風景に出会い,心打たれる出来事に出会い,そして新たな自分自身に出会う。」その出会いのために,まず必要となるのは,分かりやすい道しるべです。観光案内板の充実は,最初に取り組むべき事柄であり,現状として7年前の平成23年から29年までに寄付いただいた掲示板も含め合計で641基が市内の観光スポットを中心にして設置されてきました。また誰でも分かるように表記の仕方も色や形を研究し,積極的に展開してきました。更なる案内板の設置を検討中ですが,予算が足りないとも伺っております。この秋から始まる宿泊税を積極的に活用して,訪れる多くの方がすばらしいものに出会うという目的を果たせるよう,更に整備を進めるべきと考えますが,いかがでしょうか。 その一方で,残念な事例もございます。まず一つ目。 (パネルを示す)これは蹴上の観光案内板です。今年の5月初め,交通事故によってなぎ倒されてしまったというところです。案内板があった所に現在は何もありません。丁度ここは浄水場の向かい側ですね。地下鉄の蹴上駅の出入口の所です。今は何もありません。仮設の案内もありません。この半年余り,道案内という目的が全く果たせていません。案内板が失われたことで,旅の本質に出会えなかった方は多かったのではないでしょうか。本来なら,事故の後,まず京都市が早急に常設または仮設の形で復旧させ,観光客へ案内の目的を果たしながら対処していくべきではなかったでしょうか。 もう一つ,永観堂への観光案内板も別の意味で同じでございます。 (パネルを示す)これが永観堂,そしてバス乗り場。こういう風な形で案内板が付いております。しかし,もうちょっと遠くで見ると,(パネルを示す)交通標識の上の方にこの案内板が付いていると。これは車道の上に付けるには4.5メートルこの距離を取らなければならない,こういうルールがありますけれども,それに従って,これを設置したということでございますが,これは非常に残念な例だと思います。これによって,観光客が果たして分かるのか。そもそも,この案内板に観光客が気付いてもらえるのかなど,目的をどう果たすのかをもっと最優先に考えるべきではないでしょうか。こういった残念な例の一方で,目的を果たすために知恵を絞って考えた事例として,東山区での案内表示がございます。電柱に腹巻きのように取り付けて観光客が気付く形で設置してあります。目的を最優先にして,手段,手法を編み出した例だと考えています。こういった点から考えると,観光客が旅の本質に出会うという目的を確実に果たせるよう,もっと目的第一の発想で,案内板のみならず,観光政策全般を進めていくべきではないでしょうか。また,先ほどの残念な例は,市内全域でも十分考えられます。早急に実態を把握して改善すべきと考えますが,いかがでしょうか。 あわせて,ここで二つ提言をいたします。一つ目に,事業の目的を確実に達成しているかという使命感を改めて強く持ち市政を進めるべきです。手段に縛られ,目的を果たせなければ,その取組は無駄になってしまいます。二つ目,役所の縦割りを超えて取り組む政策の融合という点でございます。門川市長就任時から私が絶えず推進を求めている取組,雨に強いまちづくり,政策の融合がしっかり今効果を出しています。これと同様に,観光客をどう案内するかの視点で関係部局が融合すれば,先ほどの蹴上のケース,また永観堂のケースもすぐに解決できるかと思います。東山区役所が地域の皆さんと連携して取り組む腹巻きの表示。うまいやり方であれば積極的に拝借して取り組むことで,こういった残念なケースもすぐに解決できるかと思っています。この二つの提言を市政運営の中で改めて点検していってください。 そして,最後,四つ目。空き家対策と袋路地での避難ルートを確保する取組についてお伺いします。7月28日,祇園祭の実質最後の神事となる神輿洗いが行われ,私も御奉仕を終えたその夜,東山区の宮川町の路地で大きな火事が発生しました。迫る台風の強風もあり,路地に沿って奥まで火が回り,残念ながら14軒の家屋が焼け,お亡くなりになった方もいらっしゃり,この場をお借りして御冥福をお祈りいたします。 さて,この火事を契機に,地域では改めて安全な路地の防災について議論が始まり,私の所にも多数のお話を頂いています。現在京都市内に袋路地は4,330箇所あります。京都の持ち味である路地を守りつつ安全な生活をどう作るかと言えば,当面の策として,袋路地のどんつきに防火扉を設置するという取組が考えられます。それによって避難ルートがまず確保できます。今回の火災は通り抜けできる路地でしたが,袋路地で起これば,どんつきのため,住んでいる方は避難できず,悲惨なことになりかねません。現在,京都市には袋路地の避難対策として平成24年から,緊急避難経路整備事業という上限30万円で全額支援する仕組みがあります。現在までの6年半の間に25件が設置されました。ただし,この取組,どんつきの向こう側の所有者の了解がないと話は前に進みません。今,地域の方の悩みは,先方が空き家のケースです。誰のものか分からない,連絡が取れない,そこに住んでいないので関心を持ってもらえないといったケースでございます。市内の袋路4,330箇所に対して6年半で25箇所しか防火扉を設置できていないとは,市民の安心と安全を預かる京都市の取組としては非常に残念な状態だと考えます。しかし要因として考えられるのは,先方が空き家のケースでもあります。まず空き家に絞って徹底して設置の取組を推進していき,空き家を改築する場合,所有者には併せて設置を促すことも勧めるべきです。袋路のどんつきへの防火扉の設置が進むよう地域の防災訓練などを使い,支援策を積極的に広報し,地域の皆さんへ設置を強力に働き掛け,どんつきの向こう側が空き家の場合,地域との間に入って持主探しや説得工作などを進めることを求めます。また,今後の空き家対策と併せて,路地をどう安全に住める場所として京都市が支援していくのかについてもお答えください。 私の質問はこれで全部でございます。21分間の御清聴,どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 引き続き,中野洋一議員の御質問にお答えします。 都市公園の整備についてでございます。公園は,子供から大人まで多世代の方々が利用され,都市に潤いと安らぎをもたらす重要な施設であります。そのため本市では,厳しい財政状況の下,また用地が不足しているという状況の下,例えば岡崎地域では道路の一部を公園として整備し,周囲の皆様に開放するなど,あらゆる知恵を尽くして憩いの空間づくりに取り組んでまいりました。さらに,公園施設の長寿命化と経費の平準化を図りつつ,一層魅力を高めることができるよう,本年3月,京の公園魅力向上指針を策定し,ベンチや遊具などの公園施設の適切な維持管理や補修,更新,計画的な樹木の育成に取り組むとともに,梅小路公園をはじめとする本市を代表する公園や,施設の老朽化が進んでいる街区公園を中心に再整備を進めているところであります。再整備に際しましては,植栽する樹木や設置する施設などについて,地域住民の皆様や専門家を交えたワークショップを行っているところであり,今後も地域住民の皆様としっかりと意見を交わしながら,魅力的な公園づくりに取り組んでまいります。 次に,円山公園の再整備についてでございます。国の名勝に指定されている円山公園は,7代目小川治兵衛が手掛けて,滝,せせらぎ,池を地形に合わせながら巧みに取り入れた庭園で,祇園枝垂れ桜など高い文化的価値を有しながら,広く市民に開かれた憩いの場所として親しまれてきました。無鄰菴や南禅寺界隈の庭園群のようなすばらしい名勝でございます。しかし,開園から130年以上が経過し,施設の老朽化や樹木が生い茂ったことにより眺望,景観が悪化し,率直に申し上げまして,創建時のすばらしい面影を余りとどめていないという状況であります。そこで平成28年に名勝円山公園保存管理計画を策定し,文化庁とも連携しながら,国の支援を得て,専門家の英知を集め,庭園の修復をはじめ,貴重な文化遺産を将来にわたり維持,継承していくための整備を進めているところでございます。再整備に当たりましては,我が国を代表する庭園,植治の庭として,文化財としての価値を一層高めることはもとより,中野議員御指摘の市民の皆様,近隣の皆様が身近に感じられ,憩いの空間として活用されるという観点も極めて重要であると考えております。現在,円山公園の魅力づくりや利活用等について,地域住民の皆様にも参画いただける組織づくりに取り組んでおり,日常生活の中で安心安全に利用できる憩いの場であるとともに,文化首都・京都が誇り,市民,国内外の方々が感動される円山公園となるよう再整備を進めてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 私からは,空き家対策と連携した袋路の避難対策についてお答え申し上げます。京都の路地は,風情豊かで昔ながらのコミュニティが息づく場所でありますが,一方で,近年空き家が増加しております。地震などの災害時には避難に支障を来すおそれがあると,そしてまた火災時に延焼しやすいという防災上の課題を抱えておるところでございます。とりわけ,御指摘にもございました袋路では,災害時には建物の倒壊により出口が塞がれ,避難ができなくなる可能性が高いということで,喫緊の対策が必要であると考えております。歴史や文化を大切にしながら安全性を高めていくということでございますので,地域の皆様方が自分ごと,みんなごとということで,京都ならではの地域力を発揮した防災まちづくりの取組を展開する必要があると考えております。これまで85の学区で防災まちづくりや空き家対策に取り組まれております。空き家化を予防する講座等の取組も地域主体で実施されております。さらに,防災まちづくりに取り組む学区を中心といたしまして,地域の御理解と御協力の下,まち歩き,あるいは意見交換会などを通じまして把握した空き家の所有者情報を活用し,助成制度の利用を働き掛けることで,避難扉の設置,あるいは老朽化した空き家の除却などがより効果的に進められてきている事例がございます。こうした経験をいかしまして,防災まちづくりに取り組んでいる学区以外でございましても,防災訓練の機会などを通じて積極的に助成事業を周知してまいります。あわせて,防災まちづくりや空き家対策の取組学区の更なる拡大を図り,助成制度の利用を促進してまいりたいと考えております。 なお,こうした地域力,市民力をいかした取組を進めると同時に,空き家の発生抑制策そのものも重要でございます。今年度実施する空き家実態調査を踏まえまして,税の制度運用の在り方など,空き家を抑制するより効果的な方策を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 糟谷観光政策監。 〔糟谷観光政策監登壇〕 ◎観光政策監(糟谷範子) 観光案内標識の整備についてでございます。京都のまちは,歩いて巡ることで初めて,京都が誇る伝統に育まれた生活文化やまちの風情などを感じることができます。本市では,安心して快適に歩くことができるまちを目指して,様々な環境整備を進めてまいりました。中でも,観光案内標識につきましては,平成23年に,分かりやすく町並みにも調和した整備を行うための指針を策定いたしました。この指針では,看板型の周辺案内地図である案内図板や,観光名所や駅までの方向と時間を矢印で示す誘導サイン等の案内標識について,色やデザイン,多言語対応の考え方や設置する高さの基準などを定めています。中野議員御指摘の蹴上駅出入口の案内図板につきましては,事故の原因者によって補償されるべきであり,現在,交渉を重ねておりますが,話合いに時間を要するため,暫定的に簡易な案内地図を掲示するなど,速やかに対応してまいります。また,永観堂への誘導サインは,通行する車両の安全を確保するため,道路構造令による制約があることから現状のとおりとなっておりますが,より良い案内方法に改善してまいります。 一方,近年,特に外国人観光客の急増に伴い,観光客が一部のエリアに集中しており,混雑緩和に向けた取組が求められています。このため,今年度からは,宿泊税を活用し,人気観光地だけでなく,その周辺に観光客の周遊を促すための誘導サインや,観光客に余り知られていないエリアにおける案内図板の拡充を進めることとしています。観光案内標識については,案内図板のQRコードを読み込むことで,周辺の見どころやトイレなどを掲載した地図を携帯端末で自分自身の位置情報と共に利用できる実証実験を行うなど,利便性の向上にも取り組んでいるところですが,新たな整備はもとより,既存の標識についても,その効果が最大限に発揮されているかを検証し,必要な改善を図ってまいります。今後とも,あらゆる観光政策において,観光事業者や社寺など1,400を超える幅広い会員から成る日本一のDMOである京都市観光協会とも連携し,柔軟な発想による工夫,改善を行い,入洛客の皆様に感動し,満足していただけるまちづくりを進めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,大津裕太議員に発言を許します。大津議員。 〔大津裕太議員登壇(拍手)〕 ◆(大津裕太議員) 中京区選出の大津裕太です。地域政党京都党市会議員団を代表して市政一般について質問いたします。質問に入る前に,先般より地震,豪雨,台風など度重なる災害で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 最初に,平成29年度一般会計決算について質問いたします。今回の決算も,28年度決算に引き続き,極めて厳しい結果となりました。単年度収支は3年連続の赤字となりました。特別の財源対策は113億円にも上り,「はばたけ未来へ!京プラン」で示していた各年度の特別の財源対策をおおむね100億円程度に抑制するという約束は守られませんでした。「京プラン」の中期財政収支見通しは,平成28年度に示されてから年度を重ねるごとに見通しが修正され,数字が悪化し続けております。「京プラン」最終年度である平成32年度には公債償還基金の取崩しから脱却し,平成33年度には行政改革推進債も含めた特別の財源対策から完全に脱却することを市民にも議会にも約束しており,これまでの議会答弁でも一貫して脱却できると説明がなされてまいりました。本当に脱却できるのでしょうか。極めて懐疑的でございます。脱却ができるというのであれば,改めて納得のできるような具体的な収支改善のプロセスを説明いただきたいと思います。 また,新公会計制度による財務諸表によると,同規模の政令指定都市の横浜市,名古屋市,神戸市,福岡市との比較で,市民一人当たりの行政コストが最も高く,毎年上がり続けております。社会保障給付の増加を理由に挙げておりますが,それは他都市も同じであります。また,世代間の公平性を表す社会資本形成の世代間比率も比較都市の中で高い方であり,こちらも毎年上がり続け,世代間の不公平が拡大し続けております。資産は老朽化が進み,将来的な多額な支出を潜在的に抱え,地方債の残高が高止まりしていることが原因です。これら二つの指標から言えることは,京都市は歳出が過大であり,それが将来世代への負担の押し付けになっているということです。改めて,市長に確認します。これらを踏まえ,従前から何度も申し上げておりますが,予算規模の見直しが必要だと考えますが,いかがでしょうか。また,これは要望になりますが,新公会計制度による財務書類は約1年遅れでの公開となっております。今公開されているのは平成28年度のものであり,決算議会の際にリアルタイムで活用することができておりません。29年度で導入から4年目を迎えます。作成に時間が掛かることは理解しておりますが,決算審議で活用できるように同時期での公開を求めておきます。 ここまでを第1質問といたしますので,答弁をお願いいたします。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 大津裕太議員の御質問にお答えいたします。 平成29年度決算についてであります。非常に厳しい財政状況が続く中にあっても,日々変化する状況を的確に捉え,市民の命と暮らしを守る施策を推進することは,自治体の責務であります。例えば,子育て支援につきましては,民間保育園における国基準を大きく上回る保育士の配置と保育士等の処遇改善を図る本市独自のいわゆるプール制に48億円を投じるとともに,本年度も過去最大の1,237名の受入枠を拡大し,5年連続の待機児童ゼロを達成しております。人口100万人以上の都市では唯一であります。また,安心安全のまちづくりの実現に向け,河川の改修や雨水幹線整備などにこの5年間で毎年300億円以上の事業費を投じた結果,大阪府北部地震や7月豪雨,台風21号においても,大きな被害が発生する中においても,幸いにも尊い人の命に関わる人的被害はございませんでした。今後も全国トップ水準の子育て,福祉,教育の水準を維持,充実させるとともに,公共施設の長寿命化や,この度の災害発生で見えてきた課題にもしっかりと取り組む必要があり,これらには多額の財源が必要となってまいります。一方,本市財政は,構造的に財政基盤がぜい弱であることに加えまして,三位一体改革による地方交付税の減の影響等により,一般財源収入がピーク時から300億円以上減少しております。そうした中,施策推進の財源を確保すべく,職員数の削減など行財政改革を徹底しております。しかし,なお財源が不足する厳しい状況が続いており,特別の財源対策からの早期脱却は厳しいものがあると認識いたしております。このため国に対し,地方交付税の必要額の確保と臨時財政対策債の廃止などを強く求めるとともに,将来の税収増のための成長戦略と行財政改革を一体的に進めていく必要がございます。今後の施策の推進に当たりましては,予算規模の縮小有りきではなく,真に必要な事業をしっかりと精査するとともに,民間にできることは民間にを基本とした職員数の削減や聖域なき事業見直しなどを徹底してまいります。 なお,将来世代への過度な負担の押し付けとならないように,国が返還に責任を負う臨時財政対策債を除いた本市の実質市債残高を着実に縮減してきております。具体的には,一般会計で対前年度比223億円,全会計では469億円縮減してきております。引き続き,京都の今と未来に責任を持つ持続可能な行財政の確立に向け,全力を尽くしてまいります。 ○議長(寺田一博) 大津議員。 〔大津裕太議員登壇〕 ◆(大津裕太議員) 市長の答弁で,特別の財源対策からの脱却が極めて厳しいという見通しが出されました。「京プラン」が作られてから後期に入ったところで脱却する予定だったものが,後期の終わりに脱却すると言っていたものが,更にずれ込んだという認識で間違いないかと思います。特別の財源対策の脱却が大前提であり,それを踏まえたうえでめり張りを付けた政策をしていただくことを改めて要望しておきたいと思います。 次に,介護についてでございます。2000年に介護保険法が施行され,もう少しで20年がたとうとしております。財政面でも,介護職員の人手の面でも,介護保険の制度は行き詰まりを見せております。しかし,厚生労働省も,例えば,介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせる混合介護を東京の豊島区でモデル事業として試験的に行うなど新しい動きもあり,現状打破を期待しております。そんな中,もう一つの新しい動きとして,自立支援介護の議論が盛んになってまいりました。従前の介護では,どちらかと言うと,できなくなったり,不便になったことを補完することが介護でありましたが,自立支援介護ではリハビリを通じて低下した機能を改善することで本人の自立を支援する介護を言います。つまり,介護で症状を治すことで,介護からの卒業を目指します。事業者からの話を伺う機会を得ましたので,幾つかの事例を御紹介したいと思います。奈良の天理市は教育事業を展開する公文と共同で興味深い実証実験を行っております。それは,簡単な読み書き計算とコミュニケーションを交えた学習支援を公文のノウハウで高齢者に提供する脳の健康教室です。週に1回,教室に通い,読み書き教材と計算教材をそれぞれ3枚ずつ解きます。そして,採点をした後,当日の学習の振返りをするという非常にシンプルなものです。また,教室に来ないほかの6日間も自宅学習教材で同様の勉強を行います。認知機能を表すMMSEという指標があり,26点以下であると軽度認知障害や認知症の疑いがあるのですが,実証実験では,開始時に疑いのあった高齢者の8割以上のMMSEの数値が改善されました。つまり,子供たちが繰返し学習に使っている公文の教材を高齢者向けにアレンジすることで認知症が着実に改善する結果が出たのです。 また,株式会社ポラリスという介護事業者では,自分の足で歩くためのデイサービスと掲げ,水,食事,排便,運動のケアをしっかり行いながらリハビリのプログラムの提供をすることで,歩行が困難になった高齢者が再び歩行できるようにサポートしています。こちらも多くの成功事例が出ており,寝たきりから1年で介護を卒業した事例や,脳出血の後遺症を克服し仕事に復帰した事例など,身体機能が改善した事例は枚挙にいとまがありません。私も様々な事例を動画で見せていただき,どんどん元気になっていく利用者の様子を目の当たりにしました。歩行のような日常動作がもう一度自立できるように戻すことで生活を整え,次に買物や料理などもう一段階複雑な生活関連動作を自立させることができるのです。ここで言うリハビリとはパワーリハビリテーションと呼ばれ,老化に対するリハビリです。主にマシントレーニングを行いますが,筋力強化を目的としたプログラムではありませんので,軽負荷で行います。入浴より心臓への負荷が軽く設定しますので,運動によるリスクも抑えられております。その後,介護業界の方に話を聞く中で,まだまだ数は多くないですが,同様の取組をしている事業者がほかにもたくさんあることが分かりました。自立支援介護は,サービスを受ける方にとっては健康になり,自分で様々なことができるようになりますから,とても喜ばしいことでございます。そして,社会全体にとっても,一度介護に掛かると掛かりっ切りではなく,症状が改善し,介護を卒業する高齢者が増えることで,介護に掛かる社会的コストを大きく削減することができます。 そこで,京都市の介護においても,この自立支援介護を積極的に進めたいと考えております。先ほどの天理市と公文の事例では,自治体から事業者への委託では珍しい,成果に合わせた成果連動型で報酬を支払っております。事業者も成果に連動して報酬が上がるのであれば,自立支援介護を積極的に行う動機になります。成功報酬ですので,自治体としても減った介護費用を原資と考えれば,少しくらい多めに報酬を出しても,社会全体では十分元が取れます。利用者も事業者も自治体も三方よしであります。是非,自立支援介護の促進に取り組んでいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。 続いて,大学生の京都企業への就職支援について質問いたします。京都市は人口の約10パーセントに当たる15万人近い大学生が在籍しており,全国でも人口当たりの学生数が最も多く,正に大学のまち京都と言えます。大学入学とともに全国から流入する彼らは,大学卒業と共に首都圏を中心に市外に流出をしております。京都で学んだ学生が,京都市内の企業に就職し,住み続けてくれるなら,京都市にとっていかにありがたいことかと思います。現役世代の人口が減る中で,今後,企業にとって人材の確保はますます難しくなり,経営上優先順位の高い課題となります。本市は多くの大学生が市内におり,京都企業は本来であれば採用戦略上,極めて有利と言えます。大学生が京都企業に就職することが進めば,企業が京都を拠点にする大きな動機にもなり,京都市の経済にとっても計り知れない好影響がございます。 本市では,京都中小企業担い手確保・定着支援事業として,大学生や既卒者と市内中小企業のマッチング支援を行っております。キャンパスプラザ京都の中に京都市わかもの就職支援センターを運営し,市内中小企業の魅力発信や様々なイベントを開催しております。就職活動を直前に控えた3回生,4回生だけではなく,1回生,2回生にもアプローチを行い,プロジェクト型のインターンシップを提供するなど,新しい取組がされています。しかし実績を見ると,大学への出張セミナーを入れても4,000人ほどであり,純粋な施設利用者は600人ほどしかありません。15万人の学生から見ると0.4パーセントにしかなりません。京都市が公共事業で行う事業としては影響力が小さすぎます。本事業が更に成果を出していただくことが重要だと思います。私は大学卒業後,新卒で人材紹介業最大手のリクルートエージェントに入社し,約4年間,企業と求職者のマッチングに従事をしておりました。その経験も踏まえ提言をさせていただきます。 京都市わかもの就職支援センターのフェイスブックページを見ると,ページにいいね!をして情報収集してくれている方は約200人,ツイッターのフォロワーで情報収集をしてくれている方は約300人です。この数字は,私のような学生でない者や,過去に利用して既に社会人になっている方も含めての数字ですので,現時点でセンターの対象者としてはもっと少ないと思われます。私の事務所に議員インターンシップで来てくれている学生やその友人に聞いて回っても,京都市わかもの就職支援センターを知っている学生は極めて少ないのが実態です。各大学にもキャリアセンターがあり,民間の人材系企業も様々なサービスを展開する中で,わかもの就職支援センターを活用してもらうためには,独自の強みを作り,打ち出さなければなりません。特に大学生は,テレビCMをしている,または,自分が消費者として知っている大企業に志望が集中する傾向が強く,その中で中小企業の魅力に興味を持ってもらうことは難易度の高いことです。私は,わかもの就職支援センターに行けば,紹介されている京都企業の数がどこよりも充実している,紹介されている京都企業の情報の内容が最も濃いという2点が必要だと考えます。つまり,京都の企業を探すなら京都市わかもの就職支援センターだと学生に明確に認識してもらうことが必要です。京の企業訪問などで情報提供しておりますが,私のリクルートでの経験から申せば,情報量としては圧倒的に不足していると思います。各企業の情報濃度を高め,情報提供できる企業数も増やしていくことにもっと力点を置かなければなりません。いかがでしょうか。 また,わかもの就職支援センターは,京都中小企業担い手確保・定着支援事業という性質上,大企業を取り扱っておりません。京都市内に本社を置く上場企業は約60社ありますが,恥ずかしながら私自身も存じ上げない企業が幾つもありました。恐らく,学生はもっと知らないのではないでしょうか。大企業であれば自力で採用すべきで行政が手を差し伸べる必要がないというのが当局の見解だと思いますが,大企業であっても人材確保にかなり苦戦している実態があると思います。また,学生にとっても,興味を持ってもらえる可能性の高い企業群と言えます。学生がわかもの就職支援センターに集まってくれれば,仮に上場企業に興味を持って来た学生であっても,他の企業を知ってもらえる機会が増え,結果的に中小企業の人材確保に対しても成果が出ると考えております。市内上場企業にも対象を広げることを提案したいと思いますが,当局の見解をお聞かせください。 以上で,私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 自立支援介護についてでございます。高齢者の皆様が住み慣れた地域で健康に暮らし続けていただくためには,まずは介護が必要とならないよう,早くからの生活習慣病の予防や身体機能の維持向上に取り組んでいただくことが大切です。このため本市では,113の市民団体が参画する健康長寿のまち・京都市民会議等と連携し,市民が楽しみながら健康づくりに取り組めるいきいきポイントの実施や,各区役所・支所の保健福祉センターにおいて,センターの職員等が身近な地域に出向いて健康教室等を行うなど,健康長寿のまち・京都の実現に向けた取組を進めております。御質問の自立支援,重度化防止につきましては,これまでから機能が低下してきた初期の段階で,市内12箇所の地域介護予防推進センターが実施する運動教室や介護予防・日常生活支援総合事業の短期集中運動型デイサービスを利用していただき,リハビリ専門職等による指導の下で,身体機能の改善を図るなどの取組を進めているところです。市内の介護現場におきましても,体の運動と計算等の頭の運動を組み合わせたコグニサイズをはじめ,心身の機能回復に資する様々な取組がかねてから実践されているところです。また,平成30年度の介護報酬改定では,外部のリハビリ専門職等と連携した機能訓練を評価する生活機能向上連携加算の拡充や,心身機能の維持・改善状況の成果を評価するADL(日常生活動作)維持等加算の新設により,自立支援,重度化防止に資する質の高い介護サービスを提供する事業所が手厚く評価されるようになったところです。本市といたしましても,これらの加算の活用も含め,自立支援,重度化防止に資する介護サービスの提供の更なる促進に加え,ケアマネジメントの質的向上に向けて,研修の実施や御紹介のような他都市も含めた好事例の紹介等,必要な対応を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 上田産業観光局長。 〔上田産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(上田誠) 大学生の京都企業への就職支援についてでございます。本市では,担い手不足が企業の大きな課題となる中,経費負担の面から,自力での採用活動が困難な中小企業への支援が極めて重要であると考えてございます。そこで,平成28年度から,わかもの就職支援センターにおいて,中小企業の経営者と学生の交流会,また,人材定着に課題を持つ中小企業向け定着支援セミナーや大学に出張した就職セミナーなどを開催しているほか,昨年度からは,現役大学生がチームを組んで,実際に企業に訪問していただき,大学生の目線で記事を作成しSNS等に掲載するなど,中小企業の多様で多彩な魅力を知っていただくための取組を進めております。この結果,2年間の実績ではございますが,毎年160名を超える若者が市内の中小企業に就職しております。さらに,就職活動に当たって,多くの若者が活用するインターネットにおいては,より幅広い企業情報を発信することが求められることから,わかもの就職支援センターが運営するウェブサイト,京のまち企業訪問では,企業の規模の大小にかかわらず,地域と共に発展する約3,900社の地域企業の情報を無償で掲載しており,1日当たり約5,000件のアクセスをいただいております。掲載企業からも,実際の求人につながったと評価の声も頂いており,サイトの掲載企業数も着実に増加しております。しかしながら,地域企業の担い手不足の解消のためには,より一層の機能強化が不可欠でございます。このため今年度から,就職を希望する学生にとって大きな関心事である働き方改革の実践状況などの情報も京のまち企業訪問にしっかりと掲載し,より魅力的な情報発信サイトになるよう計画しております。 今後とも,わかもの就職支援センターによる支援や京のまち企業訪問での情報発信の充実を通じて,より多くの京都の若者,京都の大学生が市内中小企業,地域企業の担い手となり活躍できるよう全力で取り組んでまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,森かれん議員に発言を許します。森議員。 〔森かれん議員登壇(拍手)〕 ◆(森かれん議員) 上京区選出の森かれんです。地域政党京都党市会議員団を代表し,大津裕太議員に引き続き質問いたします。 日本では,1週間に一人のペースで虐待によって子供が亡くなっています。平成27年の1年間,心中以外で虐待死した人数は52人,中でも月齢0箇月以内に亡くなった子供が13人と一番多く,生まれてその日に亡くなった赤ちゃんは11人であったと厚生労働省が発表しています。近年,目を覆いたくなるような虐待事件が何度も報道されていますが,京都市においても,地域の,日本の宝である子供が虐待によって亡くなるという事態を起こさないという強い覚悟の下,既に課題になっていることについては早急に取り組み,可視化されていない問題についても,いち早く顕在化させなければなりません。今回は,児童虐待根絶に向けた取組について3点質問いたします。 1点目は,特定妊婦の早期発見とフォロー体制の構築についてです。生まれてその日に亡くなった赤ちゃんが11人もいるという事実も警察などの出動によって発覚したものであり,妊娠していることを周りに隠し,人知れず出産し,その赤ん坊を遺棄した場合,その現場を目撃されない限り,数字として現れることはありません。現在の妊婦に対する支援のスタートは区役所での母子手帳交付からですが,生まれたその日に子供を遺棄した加害者の約9割が母子手帳未交付だったということからも,産む決断をできないまま中絶できる期間が過ぎ,そのまま子供を産んで遺棄するような事態を行政は把握することができないということをまず認識しなければなりません。母子手帳をもらいに来るのをただ待っていては,そういった特定妊婦とつながりを持つことは難しいと考えられます。SOSをその特定妊婦側から何とか発信してもらい,そのSOSを行政側がいかにキャッチする体制を整えることが肝要ではないでしょうか。京都市では全国妊娠SOSネットワークにも登録されているにんしんホッとナビという窓口がありますが,年間相談件数は平成29年度で75件とほとんど活用されていません。これは,需要がないから利用に結び付いていないというよりは,二つの点から相談しづらいという問題があると考えられます。1点目は,窓口の開設時間です。電話相談は平日の10時から3時,土日祝には取扱いはなく,メール相談についても年中無休で受け付けているものの,休日に届いたものについては平日になってから返事するといった具合です。これでは日中に授業や仕事がある人は相談しづらいのではないでしょうか。2点目は,役割自体が単発の情報提供にとどまっているという点です。にんしんホッとナビのホームページのトップは,「どんなことでもご相談下さい。必ずあなたの力になります。」という文字が掲げられ,人に言えない思いを打ち明けようという気持ちにさせる工夫がされているものの,いざ相談フォームに飛ぶと,相談に関する回答は一般的な情報提供をその役割としていると書かれており,これでは一問一答のようなやり取りで終わってしまうような印象を覚えます。ネットや書籍の情報ではなく,公的機関からの正確な情報提供ということも大切ですが,相談者目線に立ったとき,そのスタンスで人にも言えない悩みを相談してみようと心を開かせることができるでしょうか。一方,同じように妊娠期での相談窓口を運営する民間団体,にんしんSOS東京では,SNSでの相談窓口や動画配信サイトでのPRなど大幅な予算を付けなくてもできる環境整備,広報をし続けてきている結果,毎月,新規での問合せが約100件あります。窓口では保健師や看護師などの国家資格を持つ専任スタッフが,多くの人が掛けやすい時間帯である夕方の4時から夜12時に電話対応に当たられ,メール,SNSでの相談についてもほぼ即日返信することを徹底しています。私は実際に,にんしんSOS東京へ行き,お話を伺ってきました。担当者から,実際にSOSを出してくれた方の多くは,親との関係が疎遠,パートナーに妊娠したことが告げられないなど,行政や人に頼ることができない人たちが多く,1回目の相談ではまず信用してもらえない,相談窓口から必要な行政サービスにつなげやすい自治体のSOS窓口こそ単発の情報提供だけで終わらずに,相談を継続的に続け必要な支援へと導いてほしいと指摘されています。 そこで,市長に2点お尋ねします。一つは,現在のにんしんホッとナビの機能を強化についてです。日中だけでなく夜間にも対応ができること,さらにSNS窓口も導入し,スマホをよりどころにする若い世代にこそ使いやすい環境を整えることが必要だと考えますが,いかがでしょうか。2点目は,相談窓口での継続支援についてです。単発の情報提供では,その人が抱える不安や困難を打ち明けてもらうことも,本当にその人が求める支援につなげることも難しいと考えられます。情報提供だけでなく,継続的に相談に乗る窓口にしていくべきだと考えますが,市長の見解をお聞かせください。 2点目に,児童福祉司についてお尋ねいたします。厚生労働省は緊急対策として2020年までに児童福祉司をあと2,000人増員させる方針が打ち出されました。この増員の算出根拠は,児童福祉司一人当たりの虐待相談件数を40件にまで減らすというものです。京都市に置き換えると,現在児童福祉司は57名,昨年の相談件数が1,716件であったため一人当たりの相談件数は約30件となり,一見,児童福祉司が足りているように見えます。また,京都市は国の児童福祉司の配置基準よりも高い人口当たり2万6,000人に一人の割合で児童福祉司がいる計算になりますので,他都市に比べると厚い人員配置となっています。だからといって,京都市において児童福祉司が充足しているということにはなりません。なぜなら,今もなお児童福祉司一人につき約140名の虐待案件を常時抱えているからです。学校現場でも,先生一人につき30人から35人のフォローで精一杯だと言われている中で,児童福祉司は常に本人の様子や家庭環境,関係施設との連絡を密にしなければなりません。さらに,虐待通報から48時間以内での安全確認のルールが更に強化されたことにより,日中だけではなく夜間対応も求められる勤務体制となっています。そのため,必然的に児童福祉司の一家庭に掛けられる時間は短くなるのは当然です。案件の重要度は異なるものの,常に気に掛けなければならない家庭が一人当たり140件という状態は,職場にも担当者自身にも余裕がなく,小さな虐待の予兆を発見していくことは難しいと考えられます。一人当たりの案件数を減らし,きめ細やかなフォローができる体制を作ることは必須です。一刻も早く,児童福祉司の大幅な増員を求めますが,市長の見解をお聞かせください。 また,児童福祉司の専門性向上についても力を入れなければなりません。児童福祉司という名は付いているものの,京都市の場合,保健師や看護師など国家資格を持つ職員は21名,研修を受けて児童福祉司になった一公務員は36名です。しかも,一定の資格を持つ職員以外は,ある日全く畑違いの部署から児童相談所へ移ってきて,たった数年でまた違う部署へ異動していきます。一時保護所では日々,深刻な虐待を受けてきたにもかかわらず,家に帰りたいという子供,一方で,施設暮らしは同情されることが多いけど,私にとって施設は天国のような場所という子供がいる状態です。最終的に親子分離をするか,それとも家庭に返すかの判断は,子供の安全確保の視点にとどまらない,子供の人生を左右しかねないものです。その判断をするには,何度もヒアリングや会議を重ねながら慎重に情報を積み上げなくてはなりません。そのため,児童福祉司には他の一般職,福祉職以上に知識や現場経験が必要です。京都市における児童福祉司の専門性向上は研修受講と先輩職員からの助言がメインとなっています。企業でも公務員であっても部署に10年以上勤める10年選手は重宝され,リーダー的存在,あるいは後輩にとってロールモデルとなる存在であります。専門性を醸成させることはもちろんですが,継続的に担当の児童や家族と向き合っていくべき人々が3年から4年でまた違う部署へ異動していくことが繰り返されるのであれば,その都度引継ぎがされていくため,情報の抜けや漏れが出ることも十分に考えられます。そこで市長にお尋ねします。本人の意思を尊重したうえではありますが,児童福祉司に関しては他都市でも実施されている人事固定を京都市でも行い,ジョブローテーションから外すこと,さらに法的措置が絡む児童相談所の現場では,弁護士の配置も求められますので,弁護士の配備も検討すべきだと考えますが,市長の見解をお聞かせください。 ここからは,先進的かつ強力に児童福祉に力を入れている明石市の取組を基に質問いたします。今年の3月,「ゆるしてください」と手紙を書き残して亡くなった目黒区5歳児虐待死事件では,児童との面会について問題が明らかになりました。当時の管轄児童所では,その家庭で虐待が行われていることを知りながらも,母親に面談を拒否され,本人に会うことができなかったと報道されています。出生届が提出されてから行政と子供の直接面会の機会は4回の健診のときですが,中には虐待の発覚をおそれ,意図的に健診に子供を行かせない親もいます。明石市は,児童手当の子供手渡しという形を採り,健診時などに必ず子供を連れてきてもらう仕組みを導入しています。子供に会わせてもらえなかったということを児童相談所だけの責任にするのではなく,より確実に面会できる仕組みの導入や,民生委員にも協力を仰ぎ,保育所,学校,学童,あるいは小児科などでもその家庭の状況を見てもらうというような体制も構築すべきではないでしょうか。市長の見解をお聞かせください。 結びに,里親制度の拡充についてお尋ねします。国では里親委託について,就学前児童に対して里親委託75パーセント以上実現ということを目標設定しています。しかしながら,里親委託率は全年齢で17.5パーセントと非常に低く,いまだ虐待を受けた児童の社会的養育については施設養護が8割を占めているのが実態です。京都市の里親委託率は10.1パーセントと全国平均から見ても少なく,都道府県別で見ても下から4番目であります。里親制度の拡充は待ったなしであります。施設養育から家庭的養育への移行は全国的に求められているものでありますし,京都市においても里親制度そのものの認知を広げ,委託率を上げる取組が求められます。明石市では里親100%プロジェクトを平成29年1月に始め,就学前に里親希望を出す児童を100パーセント里親委託をする目標が掲げられています。里親フォーラムなどの研修会の開催や,初めて里親になる方に里親制度がどういったものなのかということを体験してもらうため,学校の長期休みを利用して一時的に里親になるボランティア里親制度などの担い手を拡充していく取組を次々と導入しています。平成29年度には新規で2家庭が里親に,平成30年度では10名程度の方が里親になろうかと検討中と,徐々にですが,成果が出始めています。他都市の先進事例も含め,担い手確保の取組について積極的に行うことが求められますが,市長の見解をお聞かせください。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森かれん議員の御質問にお答えいたします。 児童相談所についてでございます。児童相談所は,児童虐待の早期発見,早期対応から再発防止,さらには家庭復帰に至るまでの支援を行う極めて重要な役割を担っております。そのため本市におきましては,これまでから児童福祉司の確保に努め,政令指定都市トップクラスの体制を確保するとともに,多角的かつ専門的な支援が可能となるよう,保健師や心理職,保育士,福祉職等の多様な職種を配置したうえで,児童福祉法に基づく研修に加えまして,被虐待児のケアや保護者の指導に必要な研修等も積極的に行っております。さらに,法的な助言,指導につきましても,経験豊富な弁護士への委託による相談体制を敷いており,本年度,弁護士の人数を2名から4名に拡充しております。引き続き,児童相談所の必要な体制強化を図ってまいります。また,人事異動につきましては,様々な職員が持つ多様な経験が礎となり,組織として状況に合った適切な支援が実施できるよう,定期的な人事異動と計画的な担い手の育成を車の両輪として,専門性の確保と効果的な支援に取り組んでおります。一方,近年の虐待通告件数は急増しておりますが,虐待を受けた子供の9割以上が在宅で暮らしていることから,身近な地域において家庭に寄り沿う継続的な支援を進めていくことが極めて重要であります。このため,昨年5月,子供と子育て家庭を総合的に支援する部署として,全ての区役所・支所に子どもはぐくみ室を新たに創設いたしました。子どもはぐくみ室におきましては,生後4箇月までの子供がいる全ての家庭を訪問するこんにちは赤ちゃん事業や,乳幼児健康診断等を通じて,虐待の未然防止はもとより,子育てに不安を抱える世帯に対しましてのきめ細やかな支援に取り組んでおります。また,子供の安全の確認につきましても,児童相談所の取組と併せまして,子どもはぐくみ室が様々な支援を実施する中で,民生委員や福祉,医療関係者等の関係機関と連携を更に強めまして,情報収集を行うことにより,状況に応じた対応をしっかりと進めているところであります。こうした取組の結果,居住実態が把握できていない児童は,国が調査を開始した平成26年度以降,本市では一人も発生しておりません。引き続き,関係機関や団体,そして市民の皆様とともに,掛け替えのない子供の命と一人一人の子供の健やかな育ちを守るために積極的に取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 里親制度についてでございます。本市におきましては,家庭での養育が適当でない子供たちへの社会的養護について,戦後早くから取り組んでおり,児童養護施設や乳児院を中心に,質量共に充実した養護に努めてまいりました。これらの施設において,現在も虐待等により,専門的な支援が必要な児童が増加する中で,児童福祉法の理念の下,職員が一人一人の子供に丁寧に向き合いながら,できる限り家庭的な養育ができるよう,施設の小規模グループケア化を図るなど,積極的に取り組まれています。一方,近年,国において,家族のような関係を持てることや将来の家庭生活のモデルとすることができるなどの理由から,人格形成の基礎を培う乳幼児期の里親委託を優先すべきとの方針が示されています。本市におきましても,これまでから里親の担い手を確保するとともに,里親制度に対する市民の理解を深められるよう,市民しんぶんによる募集や公開講座の開催などの啓発活動を行うとともに,里親の方々が孤立しないよう,里親家庭への訪問やサロンの開催等にも積極的に取り組んでおり,議員が例として取り上げられた明石市と同様の取組を展開しております。こうした本市の歴史的な背景と取組の中で,施設等と里親の下で生活している子供のうち,里親に委託されている割合は29年度末で12.4パーセントとなっております。今後,本市の状況を踏まえ,里親委託の考え方や施設における家庭的な養育支援の在り方等につきましては,京都市未来こどもはぐくみプランの次期計画策定に取り組む中で,これまで社会的養育を支えていただいた皆様の声も頂きながら検討を進めていくこととしております。引き続き,子供の状況に応じまして,良好な家庭的養育が提供できるよう,きめ細かな取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 久保子ども若者はぐくみ局長。 〔久保子ども若者はぐくみ局長登壇〕 ◎子ども若者はぐくみ局長(久保敦) 妊婦への支援についてでございます。妊娠期から出産・育児まで切れ目なく安心して子育てできる環境を整えるためには,望まない妊娠などにより誰にも相談できず,孤立しやすい状況にある方への支援が特に重要であると認識しております。本市におきましては,平成24年11月から,妊娠等の悩みを抱える方が匿名で相談できるよう,メールでの相談窓口としてにんしんホッとナビを開設し,専任の助産師が対応しております。受け付けた相談により支援が必要な方を把握した場合は,1回のメールで相談を終えるのではなく継続的にメール相談を行うとともに,名前や住所などの必要な情報をお伺いし,各区役所・支所の子どもはぐくみ室や児童相談所,医療機関等とも連携し,面接も含めた確実な支援につなげているところです。また,このような取組をより多くの方に知っていただけるよう,これまでから市内の薬局,ドラッグストアなどに周知カードを設置しているほか,市バス,地下鉄やトラフィカ京カードヘの広告掲載,成人式に啓発品を配布するなど,相談しやすい環境づくりに向けた取組を進めております。さらに,今年度からは若い世代の方がスマートフォンで閲覧しやすくするため,ホームページの構成を変更するなどの取組も行っています。なお,御質問のありましたにんしんSOS東京は,民間団体の自主的な取組であり,公的な相談窓口として実施するためには専門的な人員体制も含めた実施方法や,セキュリティの確保などの課題もあることから,これらの取組状況を的確に把握し検証していく必要があると考えております。今後とも,一人一人の悩みに寄り添い,丁寧に状況を確認する中で必要な支援につなげていく取組を進め,妊娠から出産・育児まで切れ目のない支援を展開してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 暫時休憩いたします。 〔午後3時休憩〕 〔午後3時21再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,森川央議員に発言を許します。森川議員。 〔森川央議員登壇(拍手)〕 ◆(森川央議員) 西京区選出の森川央でございます。日本維新の会・無所属市議団を代表し質問いたします。 私は初めての代表質問,その冒頭で「今の社会,心がおかしくなっているのではないか」と申しました。今さえよければ将来のことは構わない,あるいは自分のことさえよければそれで構わない,そんな風潮が京都に存在してはいないか。そんな問題意識でした。このボードを御覧ください。 (パネルを示す)将来負担比率です。1期目の代表質問で取り上げてからも,将来への負担はほとんど減っていません。児童虐待はこの京都市でも相次いでいます。さらに,先般の災害では,道路や電気の復旧に懸命に当たる職員に怒声を浴びせる市民もいました。私には,心をなくしているとしか言いようありません。これまでの質問に対し門川市長は,認識を共有する,子供が置かれている状況の実態把握を行い,厳しい財政状況については決算資料や市民しんぶんで随分と明らかにされるようになりました。私は今も市長と認識を同じくするものが多いと信じています。明らかになった課題については一つでも解決する,そして心を取り戻し育んでいく,そんな取組を期待し質問に入ります。 まず,教育について伺います。私が教育について再三質問するのは,厳しい京都の将来を切り開くのは子供であり,教育であると確信するためです。そこでまず,西京区洛西地域において,少子化に対応した新たな学校づくりを改めて求めたいと思います。小学校,中学校を一つにした学校は,学力向上においても高い成果があるものと思います。ところが,こうした学校は中心部に偏り,住宅価格が高いことも手伝って,この学校を希望しても限られた方しか手が届かないという現実がありました。一方で,洛西地域の学校は少子化で学級数が落ち込み,そのうえ交通問題はいまだ残されたままになり,今また芸大移転が決まりました。ところが芸大跡地の活用を含め,いまだ洛西地域の将来の具体的な方針が示されていません。地下鉄計画は無理なら無理で具体的な対案を示すことが求められます。今京都市は市営住宅に子育て世代を呼び込もうとされています。今ここで,教育で洛西のまちづくりを行う,芸大開校当時のような方針を示せば,私は必ず子供が洛西地域に帰ってくると思います。経済的にお困りの方にとっても優れた教育を洛西の新しい学校で受ける,子供たちにとって教育機会の確保の一つです。新しい学校の検討をお願いいたします。 次に,中学校給食について伺います。中学校では現在,家庭弁当か京都市のデリバリー給食かの選択ですが,それでは今の中学生に必要なバランスの取れた栄養を取れているかの懸念が残ります。なぜなら,家庭弁当であっても子供が望むようなものばかり,あるいは野菜不足など,栄養の偏りが心配されるためです。そこで伺います。現在の選択制給食がよいのか悪いのか,その議論の前提として,まず栄養士を配置するなどし,栄養が取れているかの把握が必要と考えますが,いかがでしょうか。家庭弁当を通じ親子で食育というのは,それなりに意義はあると思います。しかし,全ての子供に弁当を作り,食育を行える,そんな余裕のある親ばかりではなく,親がいない子供がいる,このことは絶対に見逃してはなりません。私は,食育と言うなら,家庭科の授業で行う,子供に弁当作りを学ばせる,子供が弁当を作る日があってよい。御飯を炊いたことのないような中学生に対し自立を促す取組こそ食育につながると考えますが,いかがでしょうか。 次に,学力向上について伺います。これまで京都市は,常に指導方法の改善に努められ,全国学力テストにもその結果が表れていますが,一方で,その結果につながる教員の実力や成果は異なってくると推測できます。ところが,御覧ください。 (パネルを示す)これは教員評価ですが,S,A,B,C,Dの5段階評価のうち,Aの優秀が40パーセント,Bの良好が60パーセント,最も評価の高いSは僅か数名とのことです。CとDは休職者や懲戒処分者ですから,優秀と良好とでほぼ100パーセント。2段階評価です。私は教員の頑張りに公平な基準を設け,評価をもってその頑張りに応えるべきであり,逆に,至らない教員がいれば足りないところを伸ばしていく。評価とその基準を明確にすることで,頑張る教員は困難校で更に頑張っていただくという教員配置を行い,そこで学力向上が見られればまた評価に反映する。こうしたサイクルを通じ,全ての学校への学力向上につなげるべきと考えますが,いかがでしょうか。 では,公平な基準とは何か。私は,全国学力テストや一人一人の習熟度を図る学習支援プログラムも一つだと思います。なぜなら,これらのテストは全ての学校にまたがる統一的な基準だからです。評価は公平に客観的に行うべきです。また,結果的にS評価の対象者が多くなり,教員給与が膨らんだとしても将来を担うのは教育。この予算は優先し,全ての子供の学力向上に京都市は責任を果たすべきです。大半の子供たちが塾に通う。塾なしでは学力を伸ばせない現実があることは明らかである。先般私は,塾の補助など提案いたしましたが,学力向上については教員の切磋琢磨を促し,予算を拡充してでも学力向上など責任を果たしていただきたい。塾に通わずしてもよい京都市の学校の実現をお願いいたします。 次に,自治会についてお伺いします。担い手不足は深刻であり,今議会でも関連条例を提案されています。内容は住宅開発業者と,自治会長との事前協議を義務付ける内容です。しかし,こうした義務付けは,かえって自治会の負担が増えるのではないか。自治会の本質的な課題解決と言えるのか疑問が残ります。「自治会は京都市の下請ではない」この言葉は,私が地元活動で聞いた非常に重たい言葉です。この言葉には,京都市任せであってはならないというプライドも含まれているからです。しかし今,自治会が担う分野は広く,そのうえ,年々新しい取組も加わり,雪だるまのように広がっています。そこへ大きな災害が相次ぎました。避難所開設など自治会に疲れはないのか。自治会長が自主防災会を兼任されるように,人手不足の中,多くの方が各分野幾つもの取組を兼務されています。無理がないものか心配であります。これは配布物の種類の多さや,その量の多さにも言えます。月2回の市民しんぶんや社協はじめ地域の配布物に加え,選挙公報を各家に配らなければならない。京都市掲示板にも貼らなければならない。負担は膨大です。私は災害が続いたことを契機に負担軽減を検討することに加え,自治会の苦境把握のため京都市が率先して自治会に加わることを求めたいと思いますが,いかがでしょうか。京都市一帯にはくまなく職員とそのOBがいます。災害にいかせる専門的な知識と技能を持つ職員の制度的な活用をお願いします。さらに,区役所の権限強化です。区長の任期は平均が僅か2年余りであるということは我が会派宇佐美議員からの指摘です。区役所職員にも同じことが言えます。僅か二,三年足らずで地域を知ることができるのか。西京区の職員のうち何人が地元在住者でしょうか。こうした観点で区長と職員の任期,そして配置を見直していただきたいと考えますが,いかがでしょうか。自治会には病気を抱える,あるいは子育てで入れないという現実と,一方で生真面目な方ほど身体に無理をされるという現実を直視し,来る災害への対応をお願いいたします。 次に,憲法について伺います。憲法の議論となると,9条に問題を集約し,ひどいのは立憲主義や平和を踏みにじるといった意見が,時折,この議会でも見られます。憲法が国民のものと言うなら,憲法改正議論に触れることすらタブーとするのはおかしいではないか。憲法は9条だけを規定しているわけではなく,正に先に質問した住民自治や京都市という自治体,教育についても規定されています。一方で,北朝鮮情勢に加え,国際会議や観光客の多い京都市。テロを想定する必要や,想定し得ない災害が現実のものとなり,指揮命令系統,情報集約など京都市の現場でもいろんな場面で課題が生じたはずです。安倍首相は緊急事態条項を提起されましたが,相次いだ災害を教訓とし,市民の生命と財産を守る京都市も当事者として憲法の議論に加わるべきではないでしょうか。また,教育については,その機会や経済的格差が生じている矛盾があります。また,国が返済するが京都市名義で借金を行えという臨時財政対策債や国直轄事業など,京都市と国の負担の押付け合いも見られます。これらを私は指摘してきましたが,必ず返ってくるのは,国への要望を行いますという答えです。私は憲法の議論に加わり,教育や国と京都市で責任所在を明確にすべきと考えますが,いかがでしょうか。 最後に,9条に関わる自衛隊に関し触れさせていただきます。京都市にただ一つの自衛隊拠点が西京区にあります。桂駐屯地です。先日の京都市を襲った災害では,桂駐屯地から派遣された自衛隊員が対応に当たっていただきました。御覧ください。 (パネルを示す)「じしんのときこわかったけどげんきがでました」。子供が書いたメッセージです。「本当にありがとう。おふろあたたかった。ありがとうございました」とあります。これは,大阪北部地震や広島市豪雨災害の折に,同じく桂から派遣された自衛隊員がお風呂を提供し,そこへ寄せられた被災者のメッセージです。こうして他府県からも寄せられた感謝の声が京都市民に伝えられ,また桂川など河川が縦断し水災の懸念が常にある西京区や京都市にとって,桂駐屯地はなくてはならない拠点であるということが市民に広く伝えられているでしょうか。災害に派遣された自衛隊員は体重が4キロほど落ちるそうです。その理由は,任務遂行のためトイレを控える,あるいは被災し困っておられる方を前にして食することができないという理由です。こうした苦労に加え,自衛隊への無理解のため,災害のための任務でも陰日向にならざるを得ない,そうした苦労も含め,市民にお伝えいただきたいと思います。先般来,森田守議員により,自衛隊募集や災害対応について様々提案されましたが,私からは桂駐屯地の自衛隊員に,市民を代表する市長が,式典への参加などを通じ最大限の敬意を表されるべきと考えます。また憲法は,9条についても決して思考停止に陥らない議論の呼掛けをお願いいたします。 以上で私の質問を終わりますが,最後に,京都の歴史でよくひもとかれる番組小学校に触れたいと思います。学校がなかった時代,京都の将来は子供への教育であると,住民が私財を投げ打って,学校を作ったという歴史です。正に住民自治の手本ですが,しかし私は私財を投げ打ってでも子供たちに京都の将来を託したその心こそ,今の時代に受け継ぐ必要がある。時代が変わり税金を広く集める時代にあっては,まずその心を引き継ぐ責任は,京都市にあると思います。歴史を単にひもとくだけでは,単なる歴史の消費である。歴史は作るものである。憲法や住民自治,教育について,これからも市長にはこうした認識に是非お立ちください。私も市長に言うだけはなく,率先して,今は小さな取組ですが,子ども食堂や,動物殺処分ゼロのための保護活動,子供たちに自然体験の機会を与える活動,高齢者・障害者の居場所づくりなど心を育む取組を率先して行い,市長と切磋琢磨し,子供の将来のため,市民のため懸命に働いてまいる,最後にこのことをお誓いし,今任期最後の代表質問を終えます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森川央議員の御質問にお答えいたします。 地域自治についてであります。京都のまちに息づく自治の伝統の下に,多くの市民の皆様が地域への誇りと熱意を持ってまちづくりに献身的に取り組まれており,今回の災害対応においても,避難所運営などで大きな力を発揮いただきました。このことが尊い人命を守ることにもつながっていると感じており,心から敬意を表します。本市ではこの地域力をしっかりと将来に引き継いでいくため,地域コミュニティ活性化推進条例を制定し,地域の主体的な取組を支援しているところであり,相談窓口ヘは,自治会や町内会等の役員の皆様から,一部の役員へ負担が集中していることや,新たな担い手の不足,質の確保策など様々な運営の相談を頂いております。これを受けまして,まちづくりアドバイザー等が現場に出向き,地域の現状と課題を把握し,本市の支援策や他の地域での成功事例など取組事例を紹介するなど,運営課題の解決に向けてきめ細かい支援を行っております。 なお,区役所等においても,掲示物等の削減を行うなど,御負担の軽減も検討し図っているところでございます。また,多くの本市職員やOBも地域活動に積極的に参加しており,更に多くの職員が参加できるよう真のワーク・ライフ・バランスの施策の推進等取り組んでまいります。私は,就任当初から一貫して現地現場主義を徹底し,区長をはじめ,まちづくりに関わる職場などには,区民と共に汗をかき,高い志を持って仕事のできる人間力の高い職員を積極的に配置しており,それぞれの職員が頑張ってくれている,そのように感じております。そして,各区の特色をいかしたまちづくりを大きく前進してきております。今後も,職員の適材適所の登用,配置に努め,区民の皆様の御期待に応えてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 憲法についてでございます。法治国家である我が国において,本市は,現行憲法に基づく法体系の下で基礎的自治体としての役割を果たしております。そのうえで,施策を進めるに当たっての諸課題につきましては,本市自らがその解決に当たることはもとより,その課題が国の法や制度に関係ある場合は,その都度国に対して強く改善の要望を行ってまいりました。その結果,災害救助法の見直し,給付型奨学金制度の創設などは,既に国において見直しが行われ,幼児教育や高等教育の無償化につきましては,本年6月に閣議決定が行われ,関係省庁で具体的な制度設計や検討が進められております。 一方,地方自治体の税財源の充実確保など,いまだ課題があるものも多く,それらにつきましては,引き続き検討を重ね,他都市とも連携を行いながら,スピード感を持って要望,要請を行うなど,あらゆる手段で実現に取り組んでまいります。 憲法につきましては,三大原則である主権在民,基本的人権の尊重,平和主義の基本的な理念,原則を大切にしつつ,国民が理解を高め,また関心を高め,国会を中心に国民全体で議論が深められるべきものと考えております。 議員御指摘の自衛隊員の皆様に対しましては,この度の災害対応への御支援に対し,深く感謝を申し上げますとともに,我が国の平和を守り,国の安全を保つ日頃からの御活動に対して敬意を表すところであります。今後とも,大規模災害時のみならず,平時からしっかりと連携を図ってまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 私からは3点,お答え申し上げます。まず,洛西ニュータウンなど洛西地域における小中一貫教育についてでございます。洛西ニュータウンでは,急激な人口減少,少子高齢化に対応し,広く洛西地域の将来を展望するため,地域ぐるみでの御議論を踏まえて策定されました,2020年度までを計画期間とする洛西ニュータウンアクションプログラムにおきまして,学校の小規模校化への対応や小中一貫教育の推進など,先進的な学校づくりを検討することとされております。こうした状況の中,竹の里小学校PTAでは,協議を積み重ねられた結果,福西小学校と統合して西陵中学校と合わせた小中一貫教育校の早期創設を目指す決議が本年3月に採択され,現在,西陵中学校区内の3小中学校のPTAと各学校運営協議会が先週には合同で小中一貫教育校を見学されるなど議論の輪が広がってきており,今後,議論が更に進展すれば,広く洛西の関係地域で御検討いただくこととなります。教育委員会といたしましても,こうしたPTA,地域での議論の進展等も踏まえ,洛西地域全体の学校教育のモデルとなる新しい学校づくりに向け取組を進めてまいりたいと考えております。 次に,中学校における食育についてでございます。本市では,平成13年度から食教育主任を全校に設置し,関連する全ての教科を横断する食に関する指導計画を各学校で策定し,食育の充実に取り組んできております。特に家庭科では,必要な栄養量に関する学習や,フライパンや炊飯器など日常生活で用いる調理器具を使用した調理実習など,3年間で30時間程度の実践的な学習を行っております。また,毎日の昼食時間におきましては,担任が生徒の食事内容等に目配りするとともに,中学校給食の利用の働き掛けを含め,栄養のバランスに配慮した食事を取るよう,生徒一人一人の状況に応じ,必要な指導を行っております。森川央議員御指摘の栄養教諭の全中学校への配置には,国の定数措置もなく,巨額の予算を要するため,実現は困難であります。現在,教育委員会の体育健康教育室に3名の栄養教諭を配置しており,この3名の栄養教諭による巡回指導などにより,今後とも食育の充実に取り組んでまいります。 次に,教員評価についてでございます。教育は人なりであり,教員の意欲や努力,実績を認め,それに報い,更に意欲を喚起していくことは極めて重要であります。本市では,平成14年度から,全国に先駆け,若手からベテランまで優れた実践を進める教員を,保護者や地域,経済界など市民の皆様の代表の御参画の下,幅広く表彰する制度を創設するとともに,平成17年度から教員評価制度を導入し,平成25年度からは,評価の給与への反映を行っております。評価に当たりましては,学力向上だけではなく,生徒指導,部活動,障害のある子供への指導,保護者や地域との連携などの項目から成る基準を設け,多面的に各教員の教育実践や学校運営への貢献をきめ細かく評価し,意欲の喚起につなげてきております。さらに,教員が自ら専門性等をアピールして赴任先を希望するFA制度などを実施し,意欲や実績を異動に反映してきております。こうした取組と保護者,地域等との一層の連携,参画が現在の本市教育の向上につながってきたところであり,今後とも,個々の教員が意欲を高め,その能力を一層発揮し,学校の教育力が更に高まるよう努めてまいりたいと考えております。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 次に,市政一般について,菅谷浩平議員に発言を許します。菅谷議員。 〔菅谷浩平議員登壇(拍手)〕 ◆(菅谷浩平議員) 北区選出の菅谷浩平です。日本維新の会・無所属京都市会議員団を代表し,市政一般について門川市長に対して質問いたします。 初めに,京都市の市政に関する情報発信の在り方についてお尋ねします。現在,全国の自治体では,ホームページのほかに,フェイスブックやツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス,いわゆるSNS,そしてオリジナルのアプリなどを通じて,インターネットによる情報発信に取り組んでいます。市のホームページである京都市情報館は,アクセス数が政令市の中で,横浜市に次いで全国2番目に多く,たくさんの方が御覧になっていることからも,一定の役割が果たされていると評価できます。しかしながら,アクセスする人の割合は市内が約3割で,残りの7割は市外からとなっており,また,市民の方からは欲しい情報へたどり着くことができないなどの御意見を頂くこともあり,課題と改善点はあると言えます。一方で,ソーシャル・ネットワーキング・サービス,SNSによる情報発信力は低調であります。フェイスブック,ツイッターの公式アカウントの登録者数は2万人前後で推移しており,この分野は抜本的なてこ入れが必要であると考えます。そこで私からは,京都市版のLINE公式アカウントサービスの導入を提案いたしたいと思います。 昨年,全国で初めて自治体による公式LINEアカウントのサービスを開始したのが福岡市でありますが,登録者数は僅かこの1年で100万人を突破し,登録者数の内訳を見ても,福岡だけで約35万人が利用している計算となります。福岡市のように,自治体の公式LINEアカウントが他の媒体と比べて登録者数が多いのは,スマホを保有する人の実に9割がLINEアプリを使っている点にあります。また,月に1回以上利用する人の割合,アクティブ率は,フェイスブックが約5割,ツイッターが約7割なのに対し,LINEは9割以上にも上ります。また,月に1回以上利用する人の数,アクティブユーザー数は,フェイスブックが約2,800万人,ツイッターが約4,500万人なのに対して,LINEは7,600万人にも上ります。是非とも京都市にはこの現状を踏まえていただき,マーケティングの参考にしていただきたいと考えます。 さらに,京都市が公式LINEアカウントを作れば,これまで京都市政に無関心だった世代の人にも効果的に情報を届けられるようになります。例えば,市民しんぶんなどはほとんど見ないで捨てていたような人でも,ひとまず登録してもらえれば,京都市から定期的にその人に合った情報が届けられ,好きなときに好きな場所で何度でも読み返すことができます。また,住んでいる地域のごみ出しの日を知らせてくれたり,分からないごみの分別にも瞬時に答えてくれたりする機能があったりします。福岡市では,御当地限定の無料スタンプがダウンロードできるなどのサービスが大変好評を博しているそうであります。更に驚くべきは,福岡市がこういった機能を持つ公式LINEアカウントを,LINE株式会社と情報連携協定を結ぶことによって,年間僅か60万円ほどで運用している点にあります。御存じかとは思いますが,LINE株式会社は,このほど京都市に東京,福岡に次ぐ国内3箇所目のオフィスを開設し,市長もLINE社の社長と懇談をされたばかりであります。この機を逃さず,市長にはLINEとの協定を視野に,京都市版の公式LINEアカウントを開設していただき,京都市政の情報や魅力を京都市内外に対して,より便利に発信していく仕組みづくりに取り組んでいただきたいと考えますが,市長のお考えをお聞かせください。 次に,外部人材の活用の現状についてお尋ねします。日本経済新聞社が実施した2018年の都道府県・政令市の人事交流調査によると,都道府県・政令指定都市による民間からの人材の受入れは,前年度比4.7パーセント増となり,この5年間で約7割も増えたことが分かりました。この調査は,47都道府県と京都市を含む20政令市を対象にしたものでありますが,京都市は29年度決算に当たる2017年の民間企業などからの出向,派遣者数は僅かに1件であり,また近年では近隣の自治体などで見られる専門的知識を有した外部からの任期付正規職員の中途採用は2017年,2018年共に0件でありました。他都市では,地方創生や訪日外国人数の拡大などの政策を背景に,人事交流や任期付き職員の中途採用を積極的に活用することで,にぎわい創出や観光振興策に民間の発想をいかそうとしています。例えば,全国で最も多く人事交流で民間から人材を受け入れている横浜市は,NEC,パソナ,イオン,ANA,横浜銀行などから総勢14人もの民間活力が市役所で働かれているそうであります。また,専門的知識の活用などを目的とした正規職員の中途採用や任期付き職員の採用について言えば,全国で初となる公営鉄道の民営化を果たした大阪市交通局の前の局長も京阪電鉄出身者であり,数々の組織改革やサービス面での改革を断行されたと認識いたしております。今年に入ってからは,神戸市においても,経済観光局経済部に課長級のポストに相当する都市型創造産業統括プロデューサーを新設し,西武百貨店や銀座ロフトの運営に携わった方を民間から採用するなどもしています。一方で,定年後の職員に同じくプロデューサーと呼ばれる肩書を担わせている京都市とは大きく違う現状が他都市の事例には見て取れました。京都市が積極的に民間からの人材活用をしない明確な理由は何なのか。また今後,民間との人事交流を活発に行い,真に京都市のためにその能力を発揮していただけるような外部からの優秀な人材を登用する気はないのか。市の考えをお聞かせください。 それでは,ここで一旦市長に答弁を求めたいと思います。 ○議長(寺田一博) 長谷川監察監。 〔長谷川監察監登壇〕 ◎監察監(長谷川一樹) 外部人材の活用についてお答えいたします。人事交流に限定して行われた民間の調査結果を基にした御指摘でございますが,本市ではもとより,市民の皆様と共に汗する共汗により市政を推進しており,市民の皆様,事業者の皆様など,あらゆる方々の参画によりまして,質の高い施策,事業に取り組んでいるところであります。民間企業の採用活動が景気回復に伴い活発になる中においても,本市では,民間企業志望者にも受けやすい人物重視の京都方式の試験の実施等によりまして,近隣自治体を大きく上回る近畿では最高の受験者数を確保しております。そして,京都のために働きたいという強い意欲と情熱を持つ民間企業経験者などを含む多様な経験を積んだ優秀な職員を採用しております。同時に,国や自治体だけでなく,JR西日本などの民間企業など,様々な方面に職員を派遣するとともに,事業者と本市が共同で行う取組に職員が従事する中で,柔軟な発想力,優れたノウハウの吸収に加え,人脈づくりなど職員の育成にも取り組んでおります。こうしたことによりまして,一例ではございますが,市政全般に対して広くアイデアを募集する職員提案制度の提案件数が昨年度は1,388件とこの10年で10倍に増加するなど,職員の市民サービス,業務改善に対する意識や改革に向けて取り組む組織風土が着実に向上しております。今後とも,外部の知見や経験も積極的に取り入れつつ,京都の未来を切り開く市役所づくりに努めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 藤原総合企画局長。 〔藤原総合企画局長登壇〕 ◎総合企画局長(藤原正行) LINEによる市政情報の発信についてでございます。昨今,スマートフォンが急速に普及する中,インターネットやSNSによる情報発信が多種多様化してきております。こうした中,本市ではこれまでから,ホームページ,京都市情報館のほか,フェイスブック,ツイッター等のSNSを活用し,それぞれの特性を踏まえた広報を展開してきており,近年,利用者数も増加してきております。LINEにつきましては,若者をはじめ,幅広い年齢層に活用されているコミュニケーションアプリであり,双方向でのやり取りが即座にできるなどの魅力があるため,御指摘のとおり,現在,国内で約7,600万人が御活用されているとお聞きしております。そうした中,本年6月には,創業の地の福岡,本社のある東京に次いで国内3箇所目となるLINEの技術・開発拠点が京都市内に開設され,市役所においてLINE株式会社の出澤社長と門川市長が研究内容についての共同発表を行わせていただいたところでございます。また,LINE株式会社におかれては,京都を中心とした関西において学生への短期,長期での就業機会の提供や,企業等の技術交流の場としても公開性のあるイベントの継続的な実施などを予定されるほか,本市に対しましても,様々な連携の御提案をいただいておるところでございまして,現在,関係局において協議を精力的に進めているところでございます。今後とも,情報の受け手に合わせたきめ細かな情報提供ができますよう,他都市の取組も参考にしながら,LINEをはじめ,あらゆる媒体の効果的な活用を積極的に検討してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 菅谷議員。 〔菅谷浩平議員登壇〕 ◆(菅谷浩平議員) LINEの活用については,是非御検討いただきたいと思います。また,外部人材の活用に関しては,聞いていた点に関して全く答弁をしていただけませんでした。今回の質問に関して,外部人材の活用というのをテーマに掲げたのは,門川市長が御自身のホームページでもこのように書いておられます。「一層信頼される市役所づくりに向け,組織の改革と職員の育成を進めます。具体的には,民間企業など他団体との人事交流を積極的に行います」と。積極的に行った結果がたかだか1件では話になりません。是非とも積極的な外部人材の活用を求めたいと思います。 (パネルを示す)次に,二条城における被災予防対策についてお尋ねをいたします。先般も,台風21号の影響により,二条城では一部閉鎖となるなどの被害がありました。先日にはようやく通常公開ができるまでに復旧作業を進めていただいておりまして,引き続き施設の完全復旧に向けて,担当局と二条城の管理事務所には全力を挙げて取り組んでいただきたいと思いますが,今年に入って,自然災害が歴史的文化財を数多く有する京都市を襲っています。6月には大阪府北部地震,7月には西日本豪雨,9月には台風21号が発生しましたが,城にとって最も脅威となり得るのは地震であると考えます。大阪府北部地震の発生を受けて,私は熊本城の視察に行ってまいりました。熊本城は御存じのとおり,平成28年3月の地震の影響により,重要文化財13棟を含む甚大な被害に見舞われました。私も熊本城を訪れ,その姿を目の当たりにするまで知らなかったのですが,復旧には20年の歳月と総額634億円ものばく大な費用が掛かるとされており,その大半に当たる425億円が石垣の復旧に要すとされています。また,熊本城の場合,不幸にも石垣が崩れたことによって多くの建造物が,その支えを失ってしまった結果として,倒壊又は一部倒壊してしまう事態となりました。そのため,熊本城では,平成15年以降に復元した元太鼓櫓,東十八間櫓など,この10数年の間に建てられた新しいものまでが,石垣の崩落と共に全部あるいは一部倒壊をしてしまったわけであります。 実は,城などの建築物に関しては,重要文化財耐震化診断指針を文化庁が作成しており,日本全国の城において地震に耐え得るかどうかの調査が行われております。京都市も平成18年に基礎診断,翌平成19年には専門診断を行っており,この調査結果を基に,現在の二条城の本格修理を行っていると聞いています。しかしながら,石垣に関しては特段の調査がなされておらず,また文化庁も石垣に関しては具体的な指針を示していないため,大きな地震が発生した場合に,二条城の石垣が崩落しない保証はどこにもないことが今回の視察調査で分かりました。京都市は平成29年度の決算で,石垣の現状調査に着手したと報告書に記載しておりますが,これは単なる内堀と外堀の石垣の写真撮影を行ったにすぎず,これは熊本城のように地震で石垣が倒壊した後に,崩れた石を積み直す作業が困難を極めるため,その資料が作成されたにすぎません。また,先の議会で可決した二条城の料金に関しても,100億円を超える巨額の修復費が見込まれるためと説明されておりますが,料金改定の設定には,将来的に石垣にも着手できるための費用を見込んでいるとも聞いております。二条城は石垣の上に立つ建造物が熊本城ほど多くはないものの,テレビなどで必ず映る東大手門や東南隅櫓はどちらも重要文化財であり,管理者である京都市は,一刻も早く石垣の状態を専門家によって調査させると同時に,市に本格移転してくる文化庁に対しても,率先して全国にある石垣の調査の必要性やガイドラインの策定を働き掛けるべきと考えますが,いかがでしょうか。 最後に,京都市の決算について一言申し述べさせていただきます。29年度の決算は,前年度より1億円少ないものの,8年連続の黒字を確保されており,一般会計の歳出額が前年度比9.5パーセント増加しているのに対して,歳入額も同じく前年度比9.5パーセント増加しておるものの,この増加分には公債償還基金の取崩しと行政改革推進債で充当した113億円が含まれており,本来の歳入だけでは歳出を賄えていない状況であります。来年度以降,新たな財源となる宿泊税の収入が見込まれますが,およそ20年前と比べて2.2倍にまで増加した社会福祉関連経費は29年度決算で初めて市の市税収入を上回る事態となりました。今後も増加する歳出圧力を鑑みた場合,京都市の財政の見通しが厳しいことに変わりはありません。増加する社会福祉関連経費などの財源を一般会計から確保するためにも,将来のために安定的な歳入を確保していく必要があり,引き続き新税などの財源確保のための議論は続けるべきと考えます。正に1年前,市長は議会において,住む人と観光客の満足度を高めるまちづくりをしているのに,ほとんどが市民の税金で取り組んでいる。そこを観光客にも負担してもらうためということだとして,宿泊税の導入を議会に提案され,可決されました。また同時に,市が運営する二条城や美術館の料金改定にも着手をされております。一方,これまた日帰り観光客が多く訪れる寺社仏閣に対しては協力を求めておりません。なぜでしょうか。みんなごととして京都市のまちづくりを進めるためにも,日帰り観光客の方が多く訪れる場所に対しても,私どもは歴史的遺産を後世に残すための財源確保に協力を求めてはどうかと考えますが,門川市長のお考えをお聞かせください。 以上で,私からの代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 菅谷浩平議員の御質問にお答えいたします。 新たな財源の確保についてでございます。「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画第2ステージにおいて,持続可能な行財政の確立を掲げ,歳入確保の方策として,市税等の自主財源の更なる確保や保有資産等の有効活用に努めてきたところであります。さらに,平成28年8月には,京都市住みたい・訪れたいまちづくりに係る財源の在り方に関する検討委員会を設置し,専門家や市民参加により新税の創設など,様々な財源確保の手法について,前提条件を付すことなく,あらゆる角度から検討いただき,さらにパブリックコメント,市民意見を聴取されて,宿泊税の創設を御提言いただきました。昨年9月の市会において条例を議決いただき,いよいよ10月から課税を開始いたします。この宿泊税による年間の税収は,東京都の24億円,大阪府の7億7,000万円を大きく上回る45億6,000万円を見込んでおります。この宿泊税は,税の徴収を行っていただく宿泊事業者の皆様をはじめ,幅広い市民の皆様のコンセンサスの下に導入できたものでございます。検討委員会からの答申では,このほかに駐車場への駐車,別荘の所有などに対して負担を求めることに関して,課税実務における課題や,更には税以外の手段との比較等について,引き続き検討を進めるべきとされております。本市といたしましても,更なる自主財源の拡充強化により,財政の自主性,安定性を高めていく必要があり,検討委員会の答申も踏まえまして,引き続き検討を進めてまいります。 なお,神社仏閣から協力を求めるべきとの御提案もございましたが,新たな財源につきましては,仕組みや規模などに関する関係者の皆様や幅広い市民の皆様のコンセンサスが必要不可欠なものと考えております。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 平竹文化芸術政策監。 〔平竹文化芸術政策監登壇〕 ◎文化芸術政策監(平竹耕三) 二条城の防災対策についてでございます。二条城におきましては,先の台風21号により,国宝二の丸御殿の飾り金具の一部落下や城内の倒木などの被害を受けました。改めて,文化財の防災対策の重要性について強く認識したところでございます。今回,安全確保を最優先に対応し,2日後には二の丸御殿をはじめ安全性を確認できたところから観覧を再開して,現在では,元どおり多くのお客様に御覧いただいております。お尋ねの石垣の耐震対策につきましては,平成28年の熊本地震による熊本城の被害を目の当たりにし,直ちに,石垣研究の第一人者の先生など専門家に二条城の現況を確認いただいて,その助言に基づき,平成29年度には,石垣の全てについて高度で専門的な撮影を行い,立体的な形状把握が可能となるデータを作成いたしました。現在は史跡等保存活用計画の策定作業において,これまでの石垣修理の履歴を調査しております。今後,それらを基に文化庁の指導に沿った石垣カルテを作成するなどの取組を進めてまいります。現段階では文化庁においても石垣の耐震補強に関する方針はなく,また,石垣の耐震性を高める工法も確立していない中,ガイドラインの策定を求める考えはありませんが,引き続き,熊本城における石垣の復旧状況なども注視し,文化庁とも情報共有を密にしながら,二条城の石垣を将来にわたってしっかりと維持できるよう努めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) これをもって一般質問を終結いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) この場合,日程の追加についてお諮りいたします。 ただ今お手元に配付してあります文書のとおり,市長から26日に提出された議第134号平成30年度京都市一般会計補正予算を本日の日程に追加し,これより直ちに上程いたしたいと思いますが,御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(寺田一博) 御異議なしと認めます。よって,これより上程することといたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 日程第2,議第134号平成30年度京都市一般会計補正予算を議題といたします。 議案の説明を求めます。門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 本議会に追加提案申し上げております議第134号平成30年度京都市一般会計補正予算につきまして,議案の内容を御説明申し上げます。 今回の補正予算は,台風21号による被害に対し,スピード感を持って復旧支援を行うために,緊急財政措置として提案させていただくものであります。本市において戦後最大の風速を観測したこの度の台風21号は,大規模な倒木や長期にわたる停電,家屋の損壊,さらには社会福祉施設,教育施設,スポーツ施設,文化財の破損など,市内各所で甚大な被害をもたらしました。そうした中,台風発生直後から,多くの地域の皆様や関係機関との連携,協働により,電気や上下水道などのライフラインの確保,倒木で不通となった道路の復旧などに全力を尽くしてきたところであり,この度の補正予算も活用して,市民の皆様が一日も早く日常生活を取り戻していただくことができるよう,引き続き全力で取り組んでまいります。 それでは,補正予算の概要を御説明申し上げます。 この度の補正予算には,被災された住宅の再建に向けた支援のほか,都市機能や生活基盤の復旧に要する経費など計8億3,800万円を計上いたしました。まず,被災された市民の方々への生活再建支援といたしまして,住宅の全壊,半壊又は一部損壊等の被害が生じた世帯を対象に,京都市独自の被災住宅の再建経費等の補助を行ってまいります。次に,都市機能や生活基盤の復旧に向けた取組として,被害を受けた約200件の学校施設をはじめ,社会福祉施設,運動公園,市営墓地などの復旧や,街路樹の倒木処理等に要する経費を補正いたします。また,相次ぐ豪雨や台風により被災された農林業の皆様への支援といたしまして,用水路やパイプハウスなどの農業用施設の復旧経費や,林道の復旧に向けての測量調査経費への補助を行ってまいります。次に,被災した文化財の復旧支援につきましては,既存の本市の文化財への修理補助制度を拡充いたしまして,敷地内の倒木処理等に要する経費への補助を行うとともに,旧三井家下鴨別邸など,本市が管理する文化財においても,倒木処理等の安全対策を行ってまいります。 なお,道路や二条城の復旧に要する経費につきましては,国や関係機関との協議に一定の時間を要するため,今回の補正予算には計上しておりませんが,状況が整い次第,第2弾の財政措置を講じてまいります。今後も引き続き,市民の皆様の暮らしを守るために,一日も早い復旧に向けまして,京都市として最大限の努力をするとともに,国や京都府に対しまして重点的な支援の実施を強く求めてまいります。 説明は以上でございます。よろしく御審議のうえ,御議決いただきますよう,お願い申し上げます。 なお,台風24号が明後日にも京都に襲来するとの確率が極めて高まってきております。先の台風21号と同等の勢力であるとのことであり,緊張感を持って緊急の対策会議を含めて,全庁挙げて,また自主防災会等地域の皆さんと共に,市民の命と暮らしを守るために全力を傾注してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 田中たかのり議員。 ◆(田中たかのり議員) 議事進行について動議を提出いたします。 ただ今議題となっております議第134号については,67名の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し,これに付託のうえ,慎重審議願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり) ○議長(寺田一博) ただ今,田中たかのり議員から動議が提出され,動議は成立いたしております。 お諮りいたします。ただ今の田中議員の動議のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(寺田一博) 御異議なしと認めます。よって田中議員の動議のとおり決します。 なお,予算特別委員は,全議員67名の方々を指名いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時18分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    寺田一博          副議長   湯浅光彦          署名議員  みちはた弘之          同     平井良人 △(イメージ)請願文書表「受理番号58」「バス一日券の利用範囲の拡大」・議第134号「平成30年度京都市一般会計補正予算」 △(イメージ)議第134号「平成30年度京都市一般会計補正予算」 △(イメージ)議第134号「平成30年度京都市一般会計補正予算」...